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好きな言葉を、また書いてみる。

紡ぐ、という言葉も好きだ。糸と糸を織り合わせて、一つのものをつくる。関係性のなかから生まれるものに惹かれるのかもしれない。一つの言葉をつなぎ合わせて、一連の詩をつくりあげるように。まずは、たった一つの言葉から。

愛を紡ぐともいうが、そこにも、人と人の間に生まれる関係性に「愛」というものがあるような気がしていて、愛に終わりがあるのは、どちらか一方だけに原因があるのではないと思っている。互いが関係性を築いていく、愛を紡いでいく決心があるのであれば、愛は続くのだろう。

紡いだ先に、育てるというものがあるのかもしれない。育てる、ということに関しても、自分の興味は注がれ続けていて、育てる対象は、作品、植物、ひと、場所、何でも惹かれてしまう。自分が育てているようで、自分も育てられている。育てることは共同作業でしか、そこに生まれはしない。

共に育つ、共育。言葉の意味は、まあ好きだが、言葉自体はあまり好きではない。そもそも、「育つこと」には「対象との関係性のなかで生まれるもの」が内包していると思っているから、わざわざ共育という言葉にしなくてもいいような気がしてしまう。わざとらしい。

着付けの教室に通っていた時に、「紬」をさらっと着こなしている方がいて、自分が思う最上の美があった。きらびやかさや華やかさは表面に出さなくても、内から自然と滲み出ていて、光り輝いている。その人とぴたりと調和していて、これまで生きてきた人生をていねいに紡ぎあげて、今、その美しさを表現しているようだった。本物の美しさを目の当たりにすると、言葉は出ない。素敵だなんて、そんな言葉だけでは足りない。



#随筆 #好きな言葉 #エッセイ  

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