こころの避難場所
自分を見失いそうになるとき、ふらっと訪れる場所がある。
以前、職場で理不尽なことに巻き込まれて、誰にも言えなくて、どろどろした感情に飲み込まれてしまうそうで、つらくて。
その時、「あ、京都に行こう」と思い立った。
職場から京都までは、軽く2時間くらいはかかるけれど、それでも、仕事が終わったその足で、行き先は京都へと向かっていたのだった。
京阪電車に乗って、出町柳方面へ。
電車から降り立って思うのは、
「京都の空気が好きだ」ということ。
それだけで来てよかったと心が喜ぶのがわかる。
もう日が暮れて、川沿いにあるお店の灯りがゆらゆらと川に映って揺れている。
そして、川沿いを心ゆくまで歩く。そうしていると、だんだんと心が落ち着いていく。
そんなふうにして、心を取り戻していくのだった。
今はもう、簡単に行ける状況ではなくなってしまったので、もうずいぶん、京都には行けていない。
自分にとってのこころの避難場所。
夜、無性に心許なくなってどうしようもないとき、オンライン上にひとつ、避難場所がある。
「くらしのきほん」
「暮らしの手帖」が好きで。
松浦弥太郎さんの書く文章が好きで。
「くらしのきほん」の中にある、夜8時から朝5時までの限定であがっている
「泣きたくなった あなたに」を読む。
言葉ひとつひとつが心に沁み入っていく。
「言葉は心の栄養」というのであれば、深く隅々まで、栄養がいき渡っていくのを感じる。
そして、京都の鴨川沿いを歩いているときのように、見失いかけていた心を取り戻していくのだ。
自分を見失いそうになってもいい。
そんなときは、こころを取り戻す避難場所を自分のどこかに置いておくといい。
あなたにとって、そんな場所はありますか?
また、落ち着いたら、京都にいこう。
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