りんご
男は 歩いている
走るのでもなく、立ちすくむのでもなく
男は風を切って 歩く
成功と失敗を過去のものにして。
森はどこまでも続く 男が望んだかのように。
男はリンゴとブドウをもいで
食べながら進む。
老婆が倒れていたが、男は進む。
子どもがおぼれているが 男は進む。
男は涙を流しながら進む。
森が切れ、崖が現れて
男は止まった。
涙は枯れ、目はくぼみ、老人になっていた。
男は眠るように倒れたまま 土になった。
こんな人生は嫌だ。
だから僕は、立ち止まり、道を変え、
出会うものを大事にする。
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90字
日常にフックを入れますが、KOしません(笑)
ポエムとエッセイの間
500円
美しさと死などが同居する、人生のような文を掲載する予定です。 あなたにカタルシスを。
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