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待合 (詩)

左右に伸びる木の廊下
ガラス扉の向こうの木々が
鈍く光る廊下に緑を落としている

前に伸びる短い廊下
待合に座る人々
背中を丸めて中空を見つめている

せねばならないことを
しないことを許された待合

名前呼ばれるのを待つ顔して
いつまでも呼ばれないことを祈り

まるで人生の役に立たない
小さな宝石のような
詩集の頁を繰る
生き急ぐように

廊下と廊下が交差する
宇宙にぽっかりと浮遊する待合に

石油ストーブはシューシューと鳴る




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