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橋のはなし

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人類の三大発明といえば、「道」「階段」「橋」である。中でも、橋は、河を渡るための手段として始まり、創造的思考に基づいて様々な発展を遂げて現在に至っている。その架橋の歴史と美しい姿…
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2024年2月の記事一覧

6.創造的思考力を伸ばすためにー鴨川の飛び石ー

飛び石とは?  万葉集第七巻1283に、柿本人麻呂による歌が収められている。      はしたての倉橋川の石の橋はも          男盛りに 我が渡りてし石の橋はも  歌の意味は、「倉橋川の石の橋はどうなったでしょう。私が若いときに、渡るように置いておいた、あの石の橋はどうなったでしょう。」である。  人麻呂が懐かしんだ「石の橋」は、恋しい人を訪ねて対岸へ渡るために置いた「飛び石」のことである。  奈良時代には、川を渡るために利用した飛び石を石の橋と呼んでいたので、

5.想像をたくましくして思考力を高めるーつるのはしー

 JR西日本大阪環状線の鶴橋駅で下車し、東口(近鉄線)改札を出て、通称コリアンタウンを南北に貫く「鶴橋本通商店街」を南に向かうと、徒歩約15分で「つるのはし跡公園」に到着する。  「つるのはし」は、日本最古の橋として名高い「猪甘津の橋」の古跡とされている。「つるのはし」の由来は碑文に詳しい。  西暦324年に仁徳天皇が、大阪の百済川(後の平野川)を渡るために猪甘津(江戸時代の猪飼野村、現在の桃谷3丁目)に小橋を架けた。  周辺には百済からの技術者集団が多く住んでいたことから

4.創造的思考法に磨きをかけるには

 創造的思考を実現するには、右脳が持つ直感や無意識の感性を用いて新しいアイデアを導き出すこと、左脳が持つ客観的事実に基づいて合理的に事象を組み立てる論理的思考とを、バランスよく繰返すことが必要である。  言葉で示すことは簡単でも、これを実現することは難しい。どのようにアイデアを導き出し、どのように事象を組み立てるのか、具体的な方法が常人(凡人かも)には見えてこない。しかし、何ごとにも原理・原則がある。  まず、①問題は何かを明らかにする。その後、②広く関連する情報を収集し

3.橋をめぐり、右脳と左脳で右往左往

  創造的思考力は成功の鍵  カーボンニュートラルに向け社会システムが大きく変わろうとする今、従来の延長線上にはない未知の分野への挑戦を、常日頃心がける必要がある。そのためには創造的な思考力が重要で、これが成功の鍵を握っている。  一方、未知の分野であるがゆえに失敗(トラブル)への対応も、常日頃心がけておく必要があり、そのためには問題の解決能力が鍵となる。 右脳と左脳による思考プロセスの違い  典型的な二つの思考プロセスの概念を、図1に示す。(a)が発散型思考で、(