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フーテン族のライブへ行く5 with 竹馬之友【2024.6.22】

こちらロックバンド「フーテン族」のライブに赴く個人の随筆です。くどいようですがライブレポートでも何でもないので、お読みの際はご理解いただきますよう……


友達は多くも少なくもない方だと思うけれど、音楽を趣味として聴くーー特にロックを聴く友はあんまりいない。ライブに行くほどの、となると尚更いない。

まぁ、当然ながら音楽意外にも娯楽というものは存在するわけで。プロ野球チームだったり、タイ人俳優だったり、力士だったり、みんなそれぞれに推しと呼べる何某をもっている。各位を思うがままに推し、イベントに参戦したりして、忙しくやっている。
それら推しについては、会ったときのトピックとなるものの、お互い誘いあってイベントに行くなどはほとんど無い。自分の好きなものを押し付けあったりはしないのが基本だ。
推しは、みんな違ってみんな良い。
そして、刺さらない人には刺さらないものと、皆心得ている。
でもたまに考える。自分がいいと思う音楽を、近しい人に理解して貰えないだろうか、いつかライブに一緒に行けたらいいのに。

名古屋に住む幼馴染――竹馬之友(以後、竹馬)は、K-POPファンで、Stray Kids(通称スキズ)がここ数年の推しだった。東京でライブなどのイベントがある時は、宿として我が家を提供していたりする。

フーテン族の名古屋・KDハポンLIVEの情報が告知されたとき、調べればその場所が竹馬の住まいに近いと知る。
いつかの会話で、私が名古屋に行った際には家に泊めてくれるという話だった。これは好タイミングなのでは。
竹馬に相談する。
「フーテン族ってバンドさ……この前ライブ行ったら良くってさ……6月に名古屋もあるっぽいんよね…もしよかったらその日泊めてほしくって、それでね?」
メンバーはスキズのリノと同年代くらいでな、
ギターにJYPいけそうな男前おるし(私見)、
まぁバンドの世界観的には広く一般ウケするそれでは無いかもだけど
無理にとは言わないが…よかったら一緒に行ってみないかい?
と、打診。すると、
「ええよーいくいく。」
と快諾いただいた。
ということで、今回は喜ばしいことに友人を連れての初ライブとなる。



6月22日当日、竹馬と名古屋栄にて合流。
前項のとおり、ここ最近の竹馬は多忙を極め、疲労の色が濃い。
とりあえず予習として『僕の犬』のMVだけは見ておいてほしいと伝えていた。「見た?どうだった?」と聞くと、
「土手に座るシーンのボーカルが腰細すぎて心配になった」
と回答があった。
そうだね。わかる。

今でこそ竹馬はアイドル系ポップスを主に聴いているらしいが、過去にはJUDY AND MARYが好きだったし、ロックサウンドそのものが合わないことは無いはず。だけれども、フーテン族はそもそも世間様が想像する一般的なロックバンドでは無いし、相当色濃い方だろう。刺激がちょっと強めかもしれない。
矢鱈と一方的に勧めすぎて、引かれても嫌だ。初見者への対応は慎重にならないと、苦手意識を持たれかねない。気をつけなければ。変に緊張感を持ち始める。
時間があればWordかPowerPointでプレゼン資料でも作るかと画策していたけれど、やらなくて良かった。なるべくカジュアルを心掛けよう。

夕刻になり、会場となる目的地、KDハポンへ竹馬と向かう。
鶴舞線、鶴舞駅に降りたのは初めてだった。本当に会場となる場所があるのか、ちょっと不安になるくらい人通りの少ない道を歩く。
現地に到着。目印となる木の扉を見つけて、中へ。
すると、秘密基地のような場所がそこにあった。否が応でもワクワクするような空間だ。どこか、童話に出てきそうな可愛らしさを感じる。
写真でみたときから、この場所がとても気になっていて、名古屋まで観に来たかった理由でもある。その甲斐があったかもしれない。

竹馬と感嘆の声を漏らしながら中を見回しつつ、腰を下ろすスペースについて相談する。
今回、なるべく落ち着いて楽しみたいということで、2階端の椅子席に座ることにした。
なかなかの景色。ステージと客席が見渡せる。
ステージと言っても、客席との境は無い。本当に小ぢんまりした、アットホームかつ不思議な場所だ。
たまに雷鳴のような音が聞こえた。何かと思えば、天井の上を電車が通過する音だった。これもまた、趣があっていい感じ。

KDハポン


今回の出演は全4組。
他の3組(人)はみなギター一本の弾き語りで、バンド編成はフーテン族だけだった。
前3人のステージが終わると、前方の椅子が撤去され、フロアはスタンディングに。ゆったりしていた空気が変わる。これまでの演者と毛色の違う5人が登場。
彼らのステージが始まる。

一曲目は浅川マキのカバー、「ハスリン・ダン」。この箱に似合う曲だと思う。じわじわと、空気がフーテン族の世界に馴染んでいくような気がした。進行するにつれて、徐々に彼ららしく妖しげな雰囲気がKDハポンを呑み込む。
ここに、今まで私が観てきたライブのような、煌びやかな照明演出は無い。ただ、演者を照らすだけのスポットライトのみ。それでも、そこはちゃんとフーテン族のステージだった。
装飾の無い、バンドとして素の魅力を見れているような気がした。

2階席から俯瞰で見るフーテン族のライブは初めてだ。というか、貴重かもしれない。
勿論パフォーマンスは正面近くで見れば迫力があって楽しい。けれど、今日のこれもまた一興。椅子席に座りながら、手摺りに体を預けて魅入っていた。

アンコールの後、終演。喝采が上がる。
あぁあ、今日のライブも楽しかった。
と、満足感に浸って、はたと気づく。
隣の竹馬の存在を忘れていた。彼女はこのライブをどう見ていた……?
あと、長い付き合いだけれども、私が前のめりになって歓声を上げる姿を、これまでに見せたことは無かったかもしれない。湧きあがる羞恥心。
恐る恐る隣を見る。


「オールバックの髪のこかっこいいな」

ん〜〜〜?!そうだね!彼ビジュが爆発してるよね!
OK。今日はこれで良し。彼らがフーテン族です。いま私が推してるバンドです。是非顔と名前だけでも覚えてって下さい。
〔追記:このときの「かっこいい」はビジュだけじゃなくてプレイを見てそう思った感想ならバンドを好きになってくれる脈ありかもしれない…そうだ。かっこいい。かっこいいよな…かっこいいんだぜ…〕

何となく怖くて、積極的にライブの感想を聞けなかった。物販でCDを買っていたので、少し興味を持ってくれたのだと思いたい。
用意周到にも私は油性マジックペンを持参していたので、CDにはその場でメンバー全員分サインを入れて頂いた。(ありがとうございます。)
竹馬よ、それ(サイン入りCD)は私が手に入れるのに煩悶しながら2ヶ月かかったやつやぞ。もっと有り難がってくれなーーとは言えない。

竹馬宅への道のり、冗談混じりにファンダム名は?メンバーカラーは?など質問を受けながら歩いた。
(そんなものはない。たぶん。)
兎にも角にも、友達とライブに行く、という目的は達成されたわけだけれどーー
竹馬は人の好きなものに対して決して否定的な言葉は言わないし、いつもポジティブな意見をくれる。今回だってそうだ。
でも今日のライブが彼女に何を残せたか、胸の内までは不明瞭だ。
思えば、今回竹馬の家に泊まる約束を取り付ける前から、若干私のフーテン族に対する熱量に引いていた感があるのではと、自分の言動などを思い返して反省することがある。
ごめんよ。昔から君の知る通り、私は性根がオタクで、ハマってしまうと、どっかおかしくなっちゃうんだな。

曲聴いてみるね、と言ってくれた。私が竹馬の影響でK-POPを好きになったように、何か彼女にも影響を与えられたなら嬉しい。
出来ればまたいつか、一緒にライブに行けたらいいな。

そっと置いておいた

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