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【朗読Ver.】『本日は曇天なり』

当時中学生だったわたしは、とあるライトノベルに夢中になっていた時期がありました。

その小説が好きで好きでしかたなくて、推しが吸うタバコを買って自分の机周りに飾っていたら母親に見つかり、喫煙のリスクをこんこんと説得されたこともありました。(崇める目的なので、吸っていません)

北にその小説に関する祭りがあると聞けば、友人を無理矢理誘って遠征し狂喜乱舞、
西にその小説を取り上げたラジオが放送されているとの情報が届くと、何としてでもこの耳で聴きたい!そんな欲にまみれた14歳でした。

インターネットの普及していない当時、わたしは文通相手募集の旨を記した手紙を図書館のその小説の間にそっと挟み、図書館の棚にそっと戻しました。

数日後、わたし宛に一通の手紙が。
そこからオタク同士の文通が始まり、文通相手を通じて念願のラジオが録音されたテープも入手することができました。
個人情報ダダ漏れおかまいなしで、今思うとかなり頭がおかしいと思いますが、完全に頭のねじが外れた中学生のわたしにとっては宝物を無事得られたわけです。
今も昔も本当に欲しいものを手に入れる際のこすい情熱は変わっていません。

閑話休題

この度、いつも仲良くしてくださっているちびまゆさんが拙作『本日は曇天なり』を朗読して下さいました。ありがとうございます( ⚯̫ )📖

作中で主人公はるこが助けを求めて図書館の書籍にメモを挿し込むシーンがあります。
これは、先のエピソードを少し変えて物語に変換したものです。

SNSが普及した今、自分自身のほんとのほんとの気持ちは、案外、実際には出会ったことのない人の方が話しやすいような気もします。

名前も、性別も、年齢も職業も外見も過去も知らないあなたの文字だけの情報のやり取りの方が、
偏見なしで純粋に文字の情報そのままに受け取れる気もするのです。

もしあなたが名も知らぬ誰かと文通をするなら、最初の一行に何と書きはじめるでしょうか?

もしあなたが図書館の本を開いた時に「たすけて」と書かれたメモが挿し込まれていたら、イタズラだと片付けてその紙をぐしゃりと握り、ゴミ箱に捨ててしまうでしょうか?

このお話は、名も知らぬ誰かとのコミュニケーションを描いたものです。

次にあなたが図書館に足を運んだ際、ふとこの物語を思い出して頂けたら幸いです。💌

改めまして
ちびまゆさん、素敵な朗読をありがとうございました。


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