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短歌・詩

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2019年4月の記事一覧

【詩】ただの事実の使い道

【詩】ただの事実の使い道

「寒い」と感じて

夏があったことに気付く。

「さみしい」と感じて

さみしくない時期が長かったことに気付く。

「人と比べるなよ」と

気軽に言うけれど

人と比べなきゃ

自分が何者かなど分からない。

若ければなおさら

何かと比べなければ

自分は何者なのか

身長は高い方なのか

運動が好きな方なのか

女の子にモテる方なのか

勉強はできる方なのか

分からない。

人と比べていいじ

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【詩】何もできない

人は言う

「わたしには何もできない」と。

本当に何もできないのだろうか。

何もできないときでさえ

できること

祈ること、

待つこと、

感じること。

見えなくても

聞こえなくても

いなくても

できてしまうこと。

目の前の何かの役に立たなきゃ

と思うから

何もできないと感じてしまう

だけど

役に立たなくても

「ここにいること」

自分で分かればそれでいい。

たった数

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【詩】空気清浄機のごみ

あまりに静かで優秀だから

そんな機械が動いてること

忘れがちだけど

じつはずっと動いてる。

すると

じつはけっこう

ごみがたまる。

ごみを食べてくれる

そこまで自動

そのさき手動。

誰が空気清浄機のごみ、掃除してるんだっけ。

空気清浄機すごいって

そりゃ、すごいよ。

でも

その「すごい」の後ろで働いてるのは

誰なんだっけ。

空気清浄機のごみを綺麗にしてくれる人

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心象スケッチ

特になにもない年頃

慣れることは楽だけど楽しくないね

自分とのお話し合いが増えていく

冷たさを自分で温められるようになり

少し高い電子レンジが休日の友達

生きることに慣れると言葉が薄まってゆく

心開いて「いいよ」って言うけれど

本当によかったんだっけ

測りやすい価値たちに素直に測られてゆく

寒くなるのが嬉しい寒さはもう無いだろう

切なくなりたくなってきた

「心と心の恋愛は今が

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めも

変わらないでそのままで、急に優しくなったりせずにサナギになって。何もできない中から掘り出して、きっとエメラルドグリーンの生き方があるはずだから。もっと幼くたっていいよ。ここはみんなを子どもにするところだよ。寒かったら「寒い!」って叫んでよ。「しょうがないな」って西川の毛布でも買ってく。冬がくるのを喜ぶのは完全なる若さだった。持ち物が少ないときは走りやすかった。買ったものを置いて走ることは難しかった

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きもち

紫色から流れ落ちてたどりついた町だった。「いいよ」と言うほど良くはないし、「だめだよ」と言うほどおかしくもない隙間が住みやすいね。

「引っ越すならどこがいい?」という優しい顔だけど、「ここじゃなければどこでもいいです」と答えたらムッとするのが紫色の自然の流れです。

大切にしたいものは雲の上。本物を探しているよ。夜がなくて朝もなかったらおかしくなりそうだけれど、「それが自然」と説明されたら「おか

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