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Bリーグチェアマンクラブ訪問その10 青森ワッツ

チェアマン出張シリーズ、今回は東北へ。青森ワッツを訪問させていただきました。ワッツも独特な歴史と気骨を持ったクラブです。ぜひ最後までお読みください。

青森ワッツ事務所訪問

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ワッツが産声を上げたのは2012年。八戸市を本拠地としてbjリーグ参入を目指す動きが前年に起こっていましたが、これはうまくいかず。
その後、下山保則さん(現・代表取締役社長)が青森県全域を本拠地とするチーム立ち上げに尽力され、ワッツが誕生しました。

青森到着後、まずは青森駅前ベイエリアにあるフロント事務所へ。ワッツの事務所と青森県バスケットボール協会の事務所は同居しており、うまく連携しています。

フロントスタッフは基本的に青森県にゆかりのある方々。開幕前ということで黙々と働いていました。ねぶた祭りの花火が目の前で見られるというナイスロケーションな場所でもあります。

青森市役所表敬訪問

青森市の小野寺市長は非常にノリの良い方でした。写真を見ていただければわかるように……2020-2021のBリーグシーズンテーマ「HANDS UP!」を表現していただいています(笑)

私から市長には「近くにあるとわかりずらいかもしれないが、ワッツのようなクラブが地方に存在している価値は大きい。何としても育ててほしい」とお伝えしました。市長も、ワッツの地域活動を評価してくれており、行政とのリレーションもバッチリという感じでした。

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囲み取材も受けさせていただきました。

今回の来青の目的をお聞きいただきましたが、「下山社長と直接お話すること」を一番の目的とお答えしました。

青森県は人口減少率全国2位。降雪などの影響もあり、決して楽ではない地方クラブの実情と想いを把握し、リーグ運営に活かしたいと考えたからです。下山社長は元銀行員で、優秀かつ強い信念のある方なのでさまざまなことを学ばせていただけるという期待もありました。

取材後は、青森県バスケットボール協会と商工会議所のみなさまにご挨拶と意見交換。引き続きのご支援を要請させていただきました。

青森ワッツという、Bリーグ1気骨のあるクラブ

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夜は下山社長と鹿内専務と懇親会。

さて、私がなぜこのタイミングで下山社長とお話したかったのか。それはBリーグ発足の頃までさかのぼります。

ワッツはbjリーグ時代、ホームゲームを県内各所で行っていました。しかし、Bリーグは"ホームゲームは一定の割合以上ホームアリーナで行う"という規定があります。
青森県全域で活動するという理念を守るため、他の誰もが言えないことも言う。下山社長は、この規定やホームタウンの考え方に対して真っ向から異議を唱えた気骨のある方なのです。

ワッツは青森県という地域を盛り上げるため、bjリーグ時代はある種の"県内巡業"を行っていたわけです。それがBリーグになってホームタウンを明確にし、そこを中心に活動せよ、ということになれば、いままで県全体で構築してきた信頼関係が変わってきてしまう。

青森県は、太平洋と日本海両方に面している本州唯一の都道府県です。地理的にも独特な形をしています。青森、八戸、弘前など、それぞれ地域の特異性があります。有名な"ねぶた祭り"ですが、弘前に

極端な話、特定のエリアにホームを持つというのは他のエリアでの活動に制限がかかるということ。つまりビジネスを縮小させることになりかねないわけです。

もちろんワッツは現在ホームゲームの開催レギュレーションなどに従ってくれていますが、ルールが許す中で青森県全域にアプローチしています。

大資本に立ち向かう地方クラブの姿として、この姿勢は非常に考えさせられます。

私が思うに、下山社長は「本当にBリーグ、それでいいの?」という姿勢を意識的に示してくれている稀有なBクラブ社長です。
だからこそ、チェアマンに就任して、シーズンが開幕する前に会いに行きたかったのです。

地元のためにプロバスケットボールクラブ発足を引き受けたというのは、私が千葉ジェッツのコンサルから社長を引き受けた経緯とダブるところもあります。このクラブを潰すわけにはいかないという思いで今まで走ってこられたことを、深く理解できるのです。
下山社長はなんと私と同じ大学、学部出身でいらっしゃいました。(日本大学法学部)これも縁、でしょうか。


私がこの出張シリーズで「独自路線を……」とか「地方創生の形が……」といつも言っているのは、それぞれの地方・クラブに、それぞれのストーリーや適応というものがあるからです。

資本のバックアップがある大都市のクラブが悪だということではもちろんありません。そういったクラブは、そういったクラブが進むべき道を進まなくてはいけません。

Bリーグの2026年新B1構想と、地域を大切にする地方クラブ。ある種で反するところではありますが、そもそもビッグクラブと資金力で戦うのは難しい土地であるということを理解した上で、どのように戦っていくのか。
勝てないというのではありません。それぞれの戦い方がある、ということです。

ワッツは厳しいクラブ運営の中、堅実に継続していくためにあらゆる努力をしています。
収益力が大都市クラブに比してどうしても厳しい中、スクール、ユース、国体に向けたチーム作りなど、育成型クラブとして頑張る姿は人々の心に届かないわけはありません。これもひとつのクラブの生き方です。無理に拡大路線を取り、破綻してしまうようなことはあってはいけません。

堅実に、地に足をつけて頑張るワッツを応援していきたいです。ブースターのみなさんも、タフに頑張っているワッツをぜひ全力でブーストをお願いします!

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地元メディアには、立て続けて前日の下山社長・選手たちが青森県知事を表敬訪問したニュースが流れていました。メディア露出は"地方の優位性"ですね。

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