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信仰の島

妹夫婦が長崎県の五島列島にある小値賀島で民泊をやっている。その宿に姪と二人で泊まりに行った。人口が減り、過疎が進む島で、妹夫婦はのんびり暮らしている。

妹夫婦の家については、今度じっくり漫画書くことにして、今回は小値賀島の二次離島である野崎島を訪ねたことを書いておこうと思う。

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野崎島は隠れキリシタンが潜伏して集落を築いた島で、今は1日2便の船で渡るしか行く術がない。wikiによれば、1716年に小値賀島の商人が移り住んで、集落を開拓。1800年に大村藩から逃げてきた隠れキリシタンが移住。1840年にも隠れキリシタンが移住。集落をつくって暮らしていた。

明治になってもすぐは、キリスト教って弾圧されていたみたいだし、信教の自由が認められる1908年頃までは教会もなかった。隠れキリシタンの人が野崎島に移り住んでから100年ちょっと…隠れながらも信仰するってどういうことなん…って思う。

そこから高度経済成長によって、自給自足が壊れたことで、現金が必要になったため人口急減。2001年に最後の島民だった、神社の神官さんが離れて、野崎島はほぼ無人島になった。今は宿泊施設の管理人さんが、施設の運営管理のために島に居るくらいだそうだ。

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Podcastでも話したけど、隠れキリシタンが住んでいたとされる船森集落は、急斜面で土地も痩せていて、メインの集落から徒歩で2時間もかかるような場所で…そこを開拓して人々は生きていた。それでも貧しいから、食べるものを切り詰めて、学校から帰ってきたら畑仕事して……そこまでして貫く信仰ってなんなんだと思う。しかも移住したての隠れキリシタンの人は、めちゃくちゃ信仰心があったとしても、子どもとか孫世代まで受け継がれているから移住から100年後に教会がたてられたわけで…。自分の中には、そこまでの信仰への情熱という引き出しが無くて、圧倒されてしまった。

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人が住まなくなった野崎島は、鹿が繁殖しまくっていた。結果、草が食い尽くされていて、その感じがまた…荒涼としていてどこか寒々しく島全体の廃墟感を強めている。私達は曇りの日に島を訪ねたけれど、これ雨の日とか夜は怖いだろうなって思った。

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コテンラジオで宗教改革編を聞いていたので、カトリック教会→イエズス会の設立を聞いていたし、腐敗したカトリックから敬虔なキリスト教に全振りした組織が生まれたことも知ってはいた。けど実際、建物や集落の遺跡を目の辺りにするとやはり圧倒されるというか途方に暮れる。…日本から遠く離れたヨーロッパで、キリスト教への信仰へ全振りした人が居た結果、極東のこの国にまで伝わってきて、たくさんの人の人生を左右したり、後世の町おこしにまで影響していると思うと…なんとも言えない。ホントすごい。

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イエズス会創設したイグナチオ・デ・ロヨラ▲彼の勇姿は、コテンラジオ#159!信仰ガチ勢でめちゃくちゃおもしろい。


野崎島は、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」ということで一連の隠れキリシタンに関わる遺跡の一つとして世界遺産に登録された。学校で習ったことって日本にキリスト教伝えた人物=「フランシスコ・ザビエル」ね、ぐらいの浅いことしか覚えてないけど…自分の人生や命を賭けて、なにかに全振りする人の情熱たるや、歴史を超えるのだなと改めて感じた。

掘っても掘っても深くて壮大だ……歴史って面白いなあ。

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