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詩歌

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#現代詩

式典のあさ

あさの
整列した内側が容易く抜け落ち
こえ、不自由なこえのひろがりが
行き先を失い暗く
素直に従うさきへと高く
行き先を変更した
風の、や けあと
あれから喉仏は乾いたまま
唇を閉じて窓を開けている
あさ、ミズアブを逃がそうと
窓を開けてやったら
唸りながら滑り落ちて
先生は何も話さなくなった
いつも微笑んでおられたのに
桜はいま満開で
沸騰した血の上流の色
やがて
知らない下流にまで
花を咲か

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