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詩歌

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2020年2月の記事一覧

殻がない

殻がない

暖かい日差しから細いひとの産毛の呼吸を思い出した
奥浜名湖の岸辺へ帰りたくなる
そこから今切をあこがれる
ポエジィは事象から脱しようとする哲学
だと誰かが言っていた
海を渡る蝶が皮膚に引っ掛かって波が生まれる
わたしは海へむかって歩き出す
乾いた心は形而上学である
たんぽぽの汁を舌先に落としてみると
何かがはじまる
そのなかで魚がはね
死んだものにも影があるように
後ろから大股でや

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自動記述の修辞学

自動記述の修辞学

殻のなか
巻貝の奥へと日差しが届く星で作品上の意識からわたしの骨はやわらかくそっと触れた壁は収縮をする植物学的に腕の届かない場所までウイルスのように脳髄が拡大してゆく去っていった人のやわらかい三角形を超えて飛沫感染を称える無防備で不眠の女を紋殺する味蕾へと温暖化は成立し疎遠だった人を促す「魂の喜び」は数値化され感情の齟齬毒物のその微量な致死量に満たないまま桜の(梅は嫌いだ)

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