BtoB営業の原理原則4 何のための営業
・営業とは、企業などが利益を得ることを目的として、行う活動のことです。企業の部門は大きく分けると、製造部門、管理部門、営業部門があります。一概に営業と言っても、法人営業(BtoB)、個人営業(BtoC)、ルート営業、カウンター(内勤)営業、店舗営業など様々の種類があり、目的や方法は、業種や業界によって異なります。営業パーソンは、企業を代表して、直接お客様と商談を行う立場になります。営業の役割は、企業とお客様を結び付けて、企業の利益を上げるとともに、お客様の夢の実現に貢献することです。お客様を幸せにする仕事とも言えます。こんな発言をすると「綺麗ごと」と言われることもありますが、例えば、芸人やユーチューバーでも人を楽しませて(幸せにして)仕事にしています。基本的には、物を作る人も売る人も同じです。ただ、良いものを作ってもお客様に届かなければ、なにも生まれませんから、まずはお客様に認知してもらうことが営業活動になります。
・営業パーソンは企業の代理人ですから、企業の方針やトップの考えに影響されます。企業はトップ次第とも言います。トップが「この程度の企業でいい」と思えば「この程度の企業」になりますし、「良い企業にしたい」と思えば「良い企業」になります。
・2021年のNHKの大河ドラマは、「渋沢栄一」でした。2024年から発行の新1万円札の肖像は「渋沢栄一」です。2022年2月の「月刊 到知」は「渋沢栄一」特集でした。渋沢栄一は、「明治の日本の産業の礎を築いた巨人です。株式会社(合本主義)を日本に導入し、生涯500以上の会社や銀行の設立し、多くの慈善活動も行っています」。著書の「論語と算盤」に述べられている「道徳経済合一説」とは、企業は「利益も大切だが、道徳 (義・正義)も大事。道徳と利益は、相反さない」と言っています。「自分自身の欲で働くのは卑しい事。世の中の利益を考えなければならない。事業の利益は社会の恩恵のおかげなのだから、全ての事業は国家社会の利益につながるものでなければならない。だからこそ、貧困は絶対に救済しなければならない。」とも言っています。ドラッカーが渋沢栄一を高く評価しているのは有名です。2人とも「事業の社会的責任と公益性」を強く訴えています。渋沢栄一の没年は1931年の11月11日(91歳)、ドラッカーの没年は、2005年11月11日(95歳)です。不思議な縁を感じます。
・同号の到知に、企業の不祥事に対する曽野綾子さんの一文が載っていました。「日本人の誇りだった誠実と職人気質を失った姿を見ると、私は我が国の将来に暗澹たるものを見る。かれらは仕事の発注者や株主や消費者をだましただけではない。日本を詐欺の容疑で売った新しい『売国奴』に等しいのである」。保険会社がお年寄りをだました契約行為の記憶はまだ新しいです。企業が儲けのために、安全や人命さえも軽視するのは、狂っています。マンションの管理会社も「会社の利益さえ出れば、居住者の利益は無視してもかまわない」そんな姿勢で信頼できません。老子は「天網(てんもう)恢恢(かいかい)疎(そ)にして漏(も)らさず / 天の張る網は、広くて一見目が粗いようであるが、悪人を網の目から漏らすことはない。悪事を行えば必ず天罰を受ける」と言っています。お釈迦様は「因果応報 / 人はよい行いをすればよい報いがあり、悪い行いをすれば悪い報いがあるということ)」と言っています。どちらも信じたいです。論理的に考えても、信頼できないような会社とは、①お客様は、2度と付き合いとは思いません。②従業員(特に若者)は、そんな企業に勤めたいとは思いません。行きつくところは、企業の衰退と廃業です。信頼できない企業に未来はありません。企業は、営業パーソンが、自信と誇りを持って営業できるようにして欲しいです。利益には、利己(自社)の利益と利他(お客様)の利益があります。①お客様の利益を優先して、企業に利益がなければ、企業は存続できません。②企業の利益を優先して、お客様の利益がなければ、企業の継続性はありません。どちらもお客様に、ご迷惑をおかけします。営業パーソンは、お客様の利益と自社の利益が、Win-Winになるようなバランス感覚が必要です。それができることが営業パーソンの存在価値です。
・世界の富裕層の1%で、全世界の富の50%を独占し、世界の貧困層の50%で、富の1%を所有しているといわれる世界は異常です。いきなり世界を変えることはできませんが、営業という仕事が、お客様に貢献でき、日本を豊かにすることができる仕事なら、少しずつでも日本を変え世界を変えていくことが可能かもしれません。それなら仕事と企業に誇りが持てます。最近のビジネス誌に、アメリカの大手企業のCEOが、「企業は顧客のために存在する。株主のためではない」とのインタビューが載っていました。「パーパス(志)経営」の言葉も目にするようになりました。世界中で、「拝金主義」「株主資本主義」が見直され始めている気がします。私は、それが正常な姿だと思っています。営業の仕事を通して世界の多くの人々が、幸せに豊かになることを願っています。
https://10s.co.jp/
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