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「100万回言えばよかった」 幽霊のルール ②


「100万回言えばよかった」に出てくる幽霊のルールは、はっきりした描写が少なくてちょっとわかりにくいと思うので、作中の描写等からいろいろ考察、推測してみました。

①はネタバレ少な目、②は「思い残し」について、③は第7話~最終回の考察です。


①では、日々亡くなる人の数から考えると幽霊になる人はかなり少ない、
幽霊になるのは相当強い「思い残し」がある人だけなのではと推測しました。

直木の「思い残し」は作中で描かれているけれど、他の人の「思い残し」は描写が少なかったので、幽霊にならなかったケースも含めて考察、推測してみました。
(以下、登場順。ネタバレ、諸々の考察も込みです)



樋口昌通(マーさん)

(字幕ではマーさん、メモリアルブックだとまあさん、今回は字幕準拠で)


マーさんは一見、陽キャな感じがするけれど、直木に初めて名前を名乗った時の様子からすると、素で陽キャというわけではなさそう。
マーさんをああいう感じにしてくれた幽霊の先輩がいたのかな?

生前のマーさんは、人が好きで本当は人と関わっていたかったけど、何か問題があって人と直接だと上手く関われず、電話でなら上手く関わることができた、とかだったのかも。

溝に落ちて、一人孤独に亡くなる時に「もっと人と関わりたかった」と強く思ったのかな。


最終回に捜しに来てもらえたマーさんは、あのあと魚住さんのお姉さんや
子供たちとゆっくりお別れの時間を過ごしてから、きっと成仏できたんだと思います。


高原涼香

千代(ちーちゃん)が仕事を再開したことをいち早く知っていたのは、
「こっち」側との繋がりが完全には切れていなかったから?

子供の頃から普通の人生を歩むことができなかった彼女には、莉桜以外に人との深い繋がりはなくて、その莉桜も名前を変えて自分とは全く違う世界で生きていたので……現世に留まるほどの強い「思い残し」は無かったのではないかと。


「私達を助けてくれたの、ちーちゃんだけだった」

下心なく優しくしてくれた人は、莉桜以外には電話の向こうの「樋口さん」だけだったのかも。

亡くなった後、莉桜のことを気にかけて空の上から見ていて、事件が解決し莉桜の状況はもう大丈夫そうになったから、優しくしてくれた樋口さんが今どうしているのか状況を聞いてお迎えに来たということなのかなと。


「お迎え現象」というのは現実にもあるみたいですね(本当に亡くなった人がお迎えに来るのか、それとも幻覚か……)


広田勝

勝さんは最愛の妻を亡くし、数年後に病気になり亡くなられていて、その時に英介のことを気にかけて現世に留まるような強い理由は無かったので(その時点では犯罪はしていなかったから)、英介が見ていた勝さんは英介自身の罪悪感による幻覚なのだと思います。


英介は直木を殺したあの場所を活動の拠点にしようとしていたけれど、逮捕されることなく活動を続けていたとしても、罪悪感でそのうちおかしくなって無理だったんじゃないかと……。


逮捕された時、英介は勝さんに声をかけられて動揺し悠依を襲ったので、そのことを警察に全部そのまま話せば精神鑑定の対象になると思うのですが、その後の捜査本部の会議や事件について話す魚住さんを見る限りだと、そうなっていないようなので、英介は勝さんが見えたということを話していないのでは?
(自分の犯罪を勝さんのせいにはしたくないから? 勝さんのことを話せば精神鑑定になり減刑される可能性もあることはわかっているけど、これ以上罪を免れるつもりはないということ?)


強い罪悪感や、その罪の報いに対して逃げずに向き合うような心を、本当に英介が持っているのなら、「優しい英介さんも嘘じゃなかった」という直木の言葉は正しいのかも。


田中希也

母親に対する依存なのかマインドコントロールなのか、千代は希也を完全に操ることができていると思っていたようだけど、希也はそういうフリをしていただけってことなんだろうな。

希也が英介に殺されるまでの詳しい経緯はわからないけれど、再会してから偽装自殺までに数日あったので、千代の悪事を暴きたい希也に協力するフリをして信用させ(英介の昔の犯罪は既に時効だから問題ないと希也は思っていたけれど、千代が捕まれば自分の過去も白日の下に晒されるのではと英介は恐れて)諸々の準備をし、飲み物に睡眠薬を入れたのかも。

ディレクターズカット版で、莉桜が「希也は生きることも、もうどうでもよくなってたのかも」と言っていたので、英介が差し出した飲み物に何か入っていたとしても、それはそれで構わないと思って飲んだのかな。

莉桜の認識が正しいのなら、希也には現世に留まるような理由は無いんだろうな。


原田弥生

幽霊についていろいろなことを教えてくれた、少し天然だけど優しい原田さん。

もしかしたら、脳出血を起こして対向車と衝突する寸前、原田さんは相手のドライバーの姿を見て、相手(ウジンさん)とその家族のことを強く思ったのかも……。


最終回の伏線としても重要な原田さんに関しては、幽霊のルール③もどうぞ

ウジン

(作中に本人は登場しないので番外編です)

ウジンさんと魚住さんは、どれくらい似ていたんだろう。
ディレクターズカット版の最終回で、ハヨンさんが
「よく見たらそんなに似てないかも。今だから、やっとそう思えるようになったのかも」と言っていました。
原田さんは「よく似てるんです。びっくりしちゃった」と言っていたから、本当にかなり似ているけれど、身内がよく見れば区別がつくくらい、だったのかな。

ウジンさんは、誰かの悪意などではなくて不可抗力の事故でしたし、多くの人に慕われて、好きな人と結婚をして、短くとも幸福な人生で……ハヨンさんのことは、医師としてとてもしっかりした人だから自分がいなくなったとしても、強く生きていけると信じていて成仏なさったのかなと。

ハヨンさんの
「短くても その人の宝物みたいになる、そういう出会いってあります」
という言葉は、この作品のテーマの一つなんだと思います。


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