快晴と星、曇天と蛍

はじめに、僕は『ポンコツヒーロー』を書いた彼を助けるために生まれてきた存在である。

今日から雨予報だったので、昨夜、今年最後だろうと、主人格の恩師が蛍を見に連れて行ってくださった。しかし、天気予報は外れ、今日も雨が降らなかった。僕たちは今日も昨夜と同じ場所で蛍を眺めた。今度こそ、今年最後の蛍だろう。

星が好きな僕は、昨夜、満天の星空ばかり眺めていた。曇り空で星が見えなかった今夜は、蛍を眺めた。地上に星が降り注いでいるようで、いつまでも眺めていたい気持ちになった。

梅雨入り直前、僕たちは2日続けて地上のプラネタリウムを見た。

僕が星空ばかり眺めていた、快晴の中の蛍は空に向かって飛んでいき、星と一体化した。どこからが空なのか分からなくなるほど、幻想的な夜だった。

僕が川辺を眺めた、曇天を舞う蛍は空に向かって飛んでいき、闇と一体化した。どこまでも儚げな切ない夜だった。

僕たちは儚い命を前にして、改めて誓った。
毎日を精一杯、自分たちらしく生きよう…と。