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熱狂に出会いたい。

スポーツ観戦で、熱狂したことがない。

電車に乗ると、鮮やかなTシャツを着て、鮮やかなタオルを持つ人がちらほら。調べてみると、近くでサッカーの試合があったようだ。いわゆる「サポーター」の皆さんだった。お疲れの様子を見るところ、さぞ、熱狂したんだろう。

スポーツ観戦で熱狂してみたいとは思う。熱狂している人に、少し憧れに近い感情すらある。「今週末は、試合だ!楽しみだ!」とか、「あの選手が加入した!すげぇ!」とか。そういう人を外から見ていると楽しそうだなと思う。しかし、いざ熱狂しようとしても、これが面白いくらいにできない。


一度、友人が誘ってくれて野球の試合を見に行ったことがある。

この日のテンションの最高潮は入った瞬間の「ドームって広い!」だった。あとの時間は「何がどうなったら、このメガホンをガンガンやればいいのだろうか…」という緊張感で、ずっとソワソワしていた。明らかに、スポーツ観戦に向いていない。「いやー、今日はめちゃめちゃいい試合だったねー」と帰り際に友人に言われたが、なにが「いい」のかさっぱりわからなかった。

そのチームを応援してみようと、スポーツ速報アプリを入れたこともある。最初こそ、結果速報を見て、どの選手が活躍したとか、全体でいまどれくらいの順位かとか、スポーツに熱狂する人のごとく確認していた。が、3日もするとアプリの存在すら忘れていた。文字通りの3日坊主だ。

サッカーも野球も、バスケットボールも同じような道をたどり、同じように3日坊主となった。そもそも球技に興味がないのかもしれない!と思い、モータースポーツに手を出したこともあるが、結果は同じだった。


熱狂できないことが、ちょっとしたコンプレックスでもあったりする。ああ、このままいつ何時も「冷めてる」と思われる人生なのだろうか。

と思ったが、そういえばかつてばーちゃんが、「あらあらあらー!」とか言いながら相撲を見ていたのを思い出した。あれもまた熱狂の一種なんだろうなと思ったら、もしかしたら、これから熱狂できる何かに出会えるのかもしれない。いま熱狂できないのは、熱狂できる何かにまだ出会っていないだけかもしれない。いつの日か、熱狂できる何かに出会えたらいいなあ。

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