見出し画像

新幹線を、止める。

東京へ戻る新幹線のなか。
「noteに何を書こうかなぁ」なんて思いながらボーッとしていた。

座席は車両の一番前。目の前には壁があり、人が出入りするたびに自動ドアが開いては閉まる。駅に着くと、続々と人が出ていき、新しい人が乗ってくる。乗務員の方、車内販売員の方、警備の方はドアのところで一礼していくので、こちらも自然と軽く頭が下がる。

ふと上を見上げると「非常用ボタン」があった。

「非常用ボタン、ここにあるんだー。」と思いながら、何か非常事態が発生したら自分が真っ先にこのボタンを押す事になるのだろうかということを想像してみた。

新幹線内で起こりうる非常事態ってなんだろう…。あー、車内火災とかかな。非常用ボタンの注意書きをよく読んでみると、こんなことが書かれていた。

このボタンを押すと電車は止まります。
車両火災の場合は、このボタンを使用しないで乗務員にご連絡ください。
非常の場合のほかは押さないでください。

火災の時は押しちゃいけないらしい。では、ここでいう非常の場合ってなんなんだろうか。ちょっと考えてみる事にしよう。

この注意書きからわかることは、以下の二点。

・ボタンを押すと電車が止まる
・車両火災の場合は押しちゃダメ

つまり「火災以外で電車を止めた方がいい場合」という事になるだろうか。

新幹線という日本の主力交通網を、運転手さんや乗務員さんの断りなしに止めた方がいい場合とはなんだろうか。

1.屋根が取れた

これはいち早く電車を止める必要がある。乗務員さんの指示を待ってる場合ではない。

時速200キロのオープンカーなんて、命の危機のなんでもない。

楽しみに買ったお土産も全部吹っ飛んでしまうだろうから、これは1秒でも早く電車を止めるべきだ。

2.ゾンビが出た

いち早く新幹線を止めたい。止めて車外に降りたい。

ゾンビ映画などは基本見ないので、ゾンビの攻略法が全くわからないのだが、その昔兄がやっていたバイオハザード情報で言えば「頭を撃ち抜けばいい」らしい。ただ、消火器の横に拳銃を完備しておくわけにもいかないだろうから、一刻も早くゾンビから遠ざかるしか助かる手段はないだろう。

これは電車を止めるべき非常事態だと言える。

3.悪の怪人が出た

これも新幹線を止めた方がいいだろう。

怪人から逃げるためなのは当然のことながら、外から仮面を被ったライダーや色とりどりのレンジャーが登場するのに、時速200キロで走っていては追いつくだけで精一杯だろう。バイクがどんどん引き離されていく姿や、レンジャーが息切れしている姿は、見たくない。

かっこよく戦ってもらうためにも、電車を止めるべき非常事態だと言える。


さて、新幹線を止めるほどの緊急事態を考えてみたが、思いのほか難しかった。

「JRおでかけネット」には車内非常ボタンを押す時として、以下の4点があげられていた。

・ドアに傘等を挟んだまま列車が動き出した時
・車内で犯罪行為を目撃した時
・救急手配が必要な時
・上記の他、以上を乗務員に伝えたい時

乗務員の方や警備員の方が定期的に車内を歩いていることで、新幹線は安心・安全が保たれている乗り物なのではないかと思った。ただただボーッと乗っている間にも、多くの人の安全を守るべく働く人がいるのである。

そんなことを考えていると、やはりドアの前で乗務員の方や警備員の方が一礼して入ってくる様子を見ると、こちらも一礼を返さずにはいられないのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?