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「調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝」、ページめくるたびにびっくりしつつ、その中で特に印象に残ったことは。

ソロ、ハルヲフォン、ビブラトーンズ、CM音楽等々。半生と50年のキャリアについての語りおろし、2021年刊行。

生誕、幼児期、小中高大の頃についてもつぶさに語っていて、1951年2月世田谷区に生まれ育った男性の生活史としても読める。
東京のアップタウンの人脈の凄さ。さりげある自慢の数々。彼のリリースした音源を聴いたこと無くても楽しめる(数多のCM音楽を手掛けているので、かなりの確率で何かしら耳にはしてそうなのだけど)。

この本を貫く思想としては下記に引用した発言がドンピシャか。
「50年ほどこの世界で生きてきたけれど、俺は、とにかく舞台の袖からショーを観ることが好きなの。当事者になりたいわけじゃなくて、当事者たちと同じ場所にいて、その動きを観ていたかった。」
自分のキャリアについてさえも他人ごと感、俯瞰的なのも面白い。

それから、本筋とはあまり関係ないけど印象に残ったところ。
「自分の経験から言うと、バンドは継続的に音を合わせてないとダメなんだよね。仕事がある時だけちょっと集まって確認するだけじゃ、バンドの音にならない。
 阿吽の呼吸とか、以心伝心とか、そういうものがお互い実感できるようなレベルに行くまでは、コンスタントに規則正しくお稽古を積み重ねるしかないんだ。」

職人気質を感じつつ、これはバンド上がりの人には共通する感覚なのだろうな、と。

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