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或ル男ノ話

足元にはカラのボトルが散らかっている。

そうだ。思い出した。

死後は天国に行くのか 地獄に行くのか
神様に会うのか 閻魔様に会うのか
花畑なのか 釜茹でなのか

そんなもんだと思ってた。

しかしどうだ

気がついたらこの世にまた転生し
何をやっても思い通りにはいかない人生を
まんまと経験させられている。

運動が得意なわけでもなく
進学も頑張ってはみたが志望校に入れず
世は超就職氷河期。結局フリーター
決してイケメンでもモデル体型でもなく
せめて好きな事を仕事にしようと
30過ぎて独立するもあえなく破産
家族にも逃げられ50が見える今になっても
狭い寮から派遣先に通い
作業が終われば呑んで寝るだけの人生
そこには楽しみも 喜びもない
もちろん 貯金も未来も。

あの日助けた蜘蛛はまだなのか

そんなものにすがるしか無い

人生とは苦難を味わう為に
働き 飯を喰らい 酒を飲み 眠るのだ。

いまのところは。


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