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#7《登校拒否》小2始業式

乱暴なお友達が原因で登校拒否ぎみだった男の子くん。

2年生になればクラス替えもあるし、春休みを満喫していました。

登校拒否ぎみだったことも忘れていた、始業式の日。


他の2人の姉と同じように朝起きて、朝食をとって、出発の準備を整える。
玄関近くに来たところで、急に、
『行きたくない』
と、固まってしまった。

双子の女の子ちゃんは、
『先行くね~』
と、行ってしまった。

小5のお姉ちゃんと迎えに来た近所の小5のお友達は、心配そうに男の子くんを見る。
そして『わかるよ~』と、励ましてくれる。

そんな言葉、何の効果もないかのように見える男の子くん。

お姉ちゃんたちも
『もう時間ないから行くね』
と、行ってしまった。


さて、どうする。
今日は始業式。
今日行って、クラス分けを聞いて、下駄箱の場所を確認してこないと、明日もっと行けないじゃないか。

ここは踏ん張って行ってみようよ。
嫌なお友達ともクラスが別れてるだろうし、大丈夫だよ。

色んな言葉で励ました。

今日行かないと明日の朝はどこの下駄箱に入れるの?
男の子くんはどこの教室に行くの?
どーするつもりなの?

大人気ないが、厳しい言葉もぶつけた。

それでも玄関で『行きたくない』の発動は止まりそうにない。


無理やり靴を履かせた。

『行こう』と、
男の子くんの鞄を持って外に出た。

男の子くんが付いてきた!


私が止まって振り向くと、男の子くんも止まる。
モジモジしてる。

『行ってクラスを確認してこよう』と、一人で歩みを進めてみる。
嫌だ嫌だと言いながら付いてくる。

私はそのまま家の前の道を歩き続ける。


あー、素っぴんだ。
日焼け止めすら塗ってない。
なんなら顔も洗ってない。
こんな状態で近所をギャン泣きの男の子くんと練り歩くなんて最悪だ。
なんていい天気。
シミが増えるなぁ。
(母の心の声)


『本当に行くの?』
『もう帰ろうよ』
『本当に嫌だよぉ』
泣きながら私の手を引っ張る。

「行くよ、男の子くんが行かないなら、このまま先生のところまで一緒に行くよ。」
「ママが男の子くんの代わりにクラス聞いてくるよ」
母はずんずん進む。


あー、まじか。
素っぴんで初めましての先生に会うのか。
しかも今日は入学式だから、先生たちもお化粧してスーツ来ておしゃれしてるんだろうな。
そんな中に素っぴんで入っていくのか。
ヤバいな。
でももう行くしかないな。
(母の心の声)


校門に着き、元気よく挨拶する母。
そんな母の手を引っ張りながら、まだ抵抗を続けている男の子くん。

近くにいた同級生が声をかけてくる。
明るい声で名前を呼んでくれる。
何人も何人も。

それなのに男の子くんは、自分だけ母親といるのが恥ずかしい気持ちもあり、かといってここから一人で行くことも出来ず、
結果的にお友達の呼び掛けを完全無視し、母の手を引っ張り歩く。


コロナがあけて、今年は5年ぶりに2年生が入学式に出て、呼掛けやピアニカ演奏や歌を披露することになっている。

他の学年は校庭でクラスを確認したら、そのまま校庭で始業式や担任発表があり、下駄箱に上履きを置いたらすぐ下校となる。

でも2年生だけはその後教室に行くことになる。


ピアニカを持った小さい子どもたちが集まってる場所で、先生が到着した子にどんどんクラス分けの紙を配っている。

『ほら、あそこだ!もらいに行こう。』
今までにない強い力で引っ張って、「行きたくない」と抵抗する。

『紙もらって、先生に言って帰ろう』
思わずその場しのぎの嘘をついてしまった。

なんとか2年生の集合場所にたどり着きたくて、つい。
「絶対だよ、紙もらったら帰るんだからね」
と、念を押してくる。
そう男の子くんには嘘や誤魔化しは通用しない。
そんなことしたら、その後の信用を失う気がするほど、色々と鋭い(笑)


1年生のときの担任の先生がいたのでご挨拶する。

1年の3学期後半から、男の子くんはこんな調子だったので、
とりあえず来てくれたことにお礼を言ってくれて、名前順で後ろだから、端に居なよ。
と言ってくださり、2人で隅っこにいた。

しばらくして、新しいクラスに別れて学年別に校庭に並ぶ。

男の子くんはみんなと一緒に並ぶことが出来ず、私と二人でみんなより10mくらい離れた後ろで二人で立っていた。


始業式に着任式が執り行われる。

へぇ~、毎年一瞬で帰ってくる1学期の始業式ってこんななのかぁ~♪
と、普段見ることが出来ない学校の様子が見られて嬉しかった。
男の子くん、ここに連れてきてくれてありがとう。

ふと、他の2人の姉妹のことを思い出す。
そーいえば我が子があと二人いた(笑)
名前順だから二人とも後ろに並んでるはず。

双子の女の子ちゃんは全く私と男の子くんのことに気がついていなさそう。
学校に行ってもいつもこんな感じ。
Going My Way。

小5のお姉ちゃんは、案の定、こちらを向いて手を振ってる。
やっと気づいてくれたと言いたげ。
この子もいつもこんな感じ。
とにかく元気で明るい。

全く同じ環境で育ってるのに、本当に全く違う3人。

た、た、楽しすぎる。
登校拒否すらいい経験させてもらってるなぁ~。と思えてくる。

そんな穏やかな気候と優しい先生とかわいい子どもたち。


始業式に着任式が進むに連れて、男の子くんがよくしゃべるようになってきた。

『あの先生はどこかから来たんじゃなくて、初めて先生になったんだね』
色んなことを考えてた私は先生の挨拶をちゃんと聞いていなかったんだけど、男の子くんはきちんと聞いてて、話の内容から理解してる。

『あ、あの先生知ってるよ。』
『2-1の先生、優しそうだね。』
声も明るくなってきた。

落ち着いて話が聞ける状態になってきてると思ったので、この後のことを話してみた。
『この後さ、下駄箱の場所確認して、2年生は入学式に出るから、みんなで教室行くと思うんだよね。男の子くんの席がどこかも確認しておいた方がよくない?』

男の子くんは一緒に来て欲しいと言うので、
『ママはいいけど、男の子くんの横にだけママがいるところ想像してみて?それでいい?』
と聞くと黙って首を振った。

せっかちな私は
『で?どうする?一人で行く?』
と問い詰めて、結論を男の子くんの口から聞きたくなったけど、
男の子くんは質問を忘れるタイプじゃないので、ぐっとこらえてそのまま考えさせておいた。


新しい担任の先生が発表されて、クラスのみんなに声をかけた後、こちらに来てくれて、男の子くんに話しかけてくれた。

『教室に行って荷物おいて、入学式に出てみない?』
明るい優しい声。

男の子くんは「うん」と即答(笑)
本音は[ママと今すぐ帰りたい]だったんじゃないかな?と思う。

先生が問いかけてくれたことで、外面の良い男の子くんは頑張って「行く」と答えたんだと思う。

男の子くんは先生と一緒にクラスの列に入っていった。

良かった。
嗚呼、良かった。


さて、入学式でキラキラ美しい着飾ったお母さんたちと鉢合わせする前に早く家に帰ろう。
(母の心の声)


次は、この翌日の話。
今まで以上にヤンチャボーイが前の席だった話。
そして登校拒否が始まります。

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