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Re:『ふつうの軽音部』の話

・最近、日曜日が楽しみになっている。その理由は2つある。ひとつはオモコロが配信しているネットラジオ『ニュース!オモコロウオッチ!』の配信日だから。もうひとつは、ジャンプ+で連載されている漫画『ふつうの軽音部』の更新日だからだ。今日は、クワハリ/出内テツオ『ふつうの軽音部』の話をします。

・実は少し前にも紹介している。


・この時も「こんなに面白い漫画があるんだ!!」と感動して記事を書いたのだが、今日配信された第25話がそれを越える面白さだったのでキーボードカタカタしている。この紹介は読まなくてもいいので、是非下のリンクから読んで欲しい。アプリなら全話無料(何のノルマも無い)ので、最新話に楽々追いつけます。

・この漫画を紹介。
 
 高校進学を機に憧れの軽音部に入部した主人公、鳩野ちひろ。入部後も過去のトラウマから歌うことを諦めて、ギターのみに打ち込む日々だった。しかし、ひょんなきっかけから同じ部活の幸山厘に「神」と崇められ、バンドを組むことに。軽音部内のギクシャクした人間関係に巻き込まれながらも、ちひろはギターボーカルとして自分の憧れであるバンド活動と向き合っていく。ふつうだけど普通じゃない、青春バンド群像劇。

・ちひろさんの憧れは邦ロックでもあると思うので、ちょっと違うあらすじになってしまったかもしれない。

この漫画の面白さは、徹底して普通な所だ。主人公は地味な感じで、大きな事件に巻き込まれることも無い。軽音部も実際にいそうな人(チャラ男、華やかな先輩等)を描いていて、フィクション的人物(学生のレベルを超えて上手い人、学生らしからぬ奇抜な格好の人)は描かれていない。そのため、読者として自分の学生生活に引きつけて読み進められる。
 
・上で書いた通り、至って普通の軽音部の日常が描かれる訳だが、ここまで読んだ人は「それって面白いの?」と思うことだろう。安心して欲しい。『ふつうの軽音部』はめちゃ面白い。その理由を2点ほど挙げていきたい。(他の理由もあるけれど、この記事を読む時間を『ふつうの軽音部』を読んで感想をポストする時間に充てて欲しいので割愛する。詳しくは上で引用した記事を参照)

・その① 主人公が実際のアーティストの曲を歌う。
 主人公の鳩野ちひろさんは作中で渋めの邦ロックを歌う。私は知らない曲ばかりだったので、調べてみて実際に存在する曲だと知って驚いた。自作の曲ではなくカバーをする所も普通の軽音部っぽいが、注目すべき所は他にある。
 ちひろさんの歌唱シーンに合わせて該当の曲を流すと、凄くピッタリなのだ。何を言っているのか分からないかもしれない。実際にちひろさんの声は付いていないのだが、実際の曲を使うことで、どう歌っているのかが分かる。すると、不思議とちひろさんの声が聞こえてくるような気がするのだ。台詞や描写、歌詞の配置が絶妙なのだろう。だから、読んでいて惹きつけられる。普通の日常の中だからこそ、ふとした時の輝きがその神々しさを増すのだ。

・その② 主人公がめちゃくちゃな努力家
 ちひろさんは主人公補正でめちゃくちゃギターも歌も上手い……という訳では無い。入部した軽音部には彼女よりも上手い人は沢山いて、そのせいで辛酸を舐める場面もある。作中ではそこまで描かれないが、それで退部する人も少なくないだろう。
 ただ、ちひろさんはそこでめちゃくちゃ努力をする。ジャンプの主人公は修行するものだが、ちひろさんは普通の軽音部なので、夏休みに毎日公園で弾き語りをする。恐らくモデルになった公園は大阪の長居公園なのだが、この公園、めっちゃ広い。その上人もかなり多い。それでもちひろさんは毎日弾き語りをし続ける。徹底して普通を描いているからこそ、普通じゃできない努力が輝いて見える。ここ最近はその修行編で、今日の第25話が締めくくりとなる回だった。

・最後に第25話の話だけ。
 新メンバー勧誘のために弾き語りをする、というのが第25話の内容。内容にはあまり触れずに、印象的な所を話したい。
 今回特筆すべきは、ちひろさんの歌唱シーンだろう。自分の弾き語りで新メンバーが加入してくれるか決まる、その状況の中で歌い出した彼女は少し緊張した表情を見せる。次の頁では今まで聞かせたことの無い同級生を前に歌うことへの微かな恥じらいと、運指を間違えたことへの焦りを感じさせる表情を。更に次の頁では、それらの失敗を吹き飛ばすように必死な顔で歌う。
 聞き手である新メンバーもそこまで聴いて退屈そうな顔を見せ、読者としてもそこで終わりかな、と思いつつ頁をめくる。すると、更にボリュームを上げて歌うちひろさんに圧倒される。それまで読める形で書かれていた歌詞も、形を成さない程大きくビリビリとしたフォントになっている。そこから更に頁をめくると、今までで1番笑顔のちひろさんの一枚絵が出てくる。この場面、めちゃくちゃ良い……。それまで真っ黒のちひろさんの髪が白っぽく描かれ、そして全身からキラキラを放っている。凄く神々しい一枚なのだ。

・普通の軽音部、普通の高校生でも、ギターを手に歌っている間は特別になれる。そんな感想を抱く程に美しいと思った。

・読んでくれ……!!!!この間、立ち寄った本屋で2巻を買おうとしたら、発売前だったし1巻は売り切れだった。

・今、1番、面白い漫画!!!!

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