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(12)日本語ミステリー劇場       ▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼     チガイがわかる・おもしろ日本語入門   ▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△

    第二章 日本語ミステリー劇場

          その6、究極の変則動詞の秘密をさぐる!? 

               「 be動詞“だ”のナゾ!」

          souy

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元NHKアナ、民放キャスター、はたまた講演講師や大学
講師などを遍歴して、その後突然スペインのバルセロナに
移住して、早や18年。
著書(最新刊)『熟年夫婦の行き当たりばったりスペイン
移住記』(地球の歩き方、ダイヤモンドビッグ社)
他に『NHKはもういらない』(三一書房)
  『勉強っていやいやするもの?』(大日本図書)
  「脳みそのほんとうの使い方」(日科技連出版)など
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さああなたは“○○る”型動詞を含めた動詞の変化形を、ほとんどマスターしました。過去形だけで15種類、その上人称ごとに変化するスペイン語と比べれば、なんてカンタンでしょう!!

ところでずいぶん前に「日本語の動詞の全ての不定形は“u”で終わります」と言ったことを覚えていますか? でもそれには二つの例外があるともお話ししましたね?

         ここではその例外の一つを公開しましょう。

               
              それは“だ”です!!


そう、「これはボクのお金だ!」の“だ”なのです。 じつは“だ”は動詞ではない
との説もありますが、日本語学習に際してはあまり細かいことにとらわれず、とりあえず欧米語のbe動詞にあたるものとして考えておいたほうが理解しやすいでしょう。

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さて、このbe動詞“だ”の不定形は、明らかに最後が“u”ではなく、“a”で終わって
いて、なんとも奇妙です。 さっそく、活用形(変化形)を見てみましょう。


   ーーーーーーーーーー〈肯定形〉ーーーー〈否定形〉ーーーーーーーー

   〈インフォーマル〉

       現在形        だ                       ではない
                                              (・a)         (・nai)

       過去形        だった      ではなかった
                                              (・tta)                   (・nakatta)

   〈フォーマル〉

       現在形        です       ではありません
                                               (・su)                   (・arimasen)

       過去形        でした      ではありませんでした
                                               (・shita)               (・arimasendeshita)

   ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


活用形をよく見てみると、最後が“u”でなく“a”で終わるだけでなく、“だ”の
否定形が“ではない”だったりと、極めて不思議な変化をしているではありませんか。

         これは一体、どういうことなんでしょう?

    その理由はおそらく、以前は以下のような活用だったからでしょう。


   ーーーーーーーーーー〈肯定形〉ーーーー〈否定形〉ーーーーーーーー

   〈インフォーマル〉

       現在形        である                 ではない
                                                (・aru)      (・nai)

       過去形       であった     ではなかった
                                                (・atta)                (・nakatta)

   〈フォーマル〉

       現在形        であります       ではありません
                                               (・arimasu)           (・arimasen)

       過去形        でありました   ではありませんでした
                                              (・arimashita)       (・arimasendeshita)

   ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そうです、あの夏目漱石の名作『吾輩は猫である』のように、以前は“だ”ではなく
“である”、“だった”ではなく“であった”、デアッタ(笑)ことでしょう。

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もしそうならbe動詞の不定形の最後も、規則通り“u”で終わっていたことになります。それが何らかの理由で、その肯定形だけが、“だ”や“だった”に変化していきました。というのも“である”は、少し傲慢的かつ断定的な感じがするからではないでしょうか。   

けれども、“である”は今も使われており、場合によっては文法的に“だ”に変えられ
ない場合も存在しますので、“である”の変化形についても覚えておいて下さい。


               さて、

  “である”や“であった”とはどういうことを意味するのでしょうか?


ご存知のように“ある”というのは「存在する」という動詞。 つまり“である”とは
「“で”が存在する」、“であった”とは「“で”が存在した」。また“ではない”
とは「“で”が存在しない」、“ではなかった”とは「“で”が存在しなかった」と
いうことを意味していることになります。


         それでは、“で”とは何なのでしょう?

 “で”とは「それ」、つまり“である”は「それが存在する」と考えてみましょう。

        とするならば、「それ」とは何なのでしょうか?    
       

例えばこれを「一致」あるいは「同一性」と考えてみたらどうでしょう。もしそうなら “AはBである”とは、「AとBは相互に一致する」または「AとBには同一性が存在する」ということになります。つまり「AとBは同じだ!」ということを意味します。

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     「私は日本人です」とは、「私と日本人は同じものだ」、

                そして

 「“tomorrow”は“明日”である」とは、
       「英語の“tomorrow”と日本語の“明日”には同一性が存在する」

          ということを意味しているはずです。

これは単に私の拙い推測ですが、どんな言語においてもbe動詞というのは特異な動詞でおそらくそれは幾つかの対象物が同じ物であったり、極めて相似していることを表しているようなのです。ぜひあなたも、さまざまな方法でbe動詞の謎に迫ってみて下さい。


ところで、“である”が否定形になると“ではない”と、“は”(wa)が付け加えられ
ますが、主語の後ろに置かれる“は”は、同時にまた、否定を強調する意味も持って
いることを頭の片隅にとどめておいてください。


  さてこれでようやく、究極の変則be動詞“だ”の正体が見えてきました!
            

不定形が“u”で終わらないもう一つの動詞については、しばらく後に触れることに
しましょう。 それが何かは、おひまな時に楽しみながら考えてみて下さい。

         それではまた、近いうちにお会いしましょう!


                 
ーーー 次回は第13回、 第二章 日本語ミステリー劇場
  
            その7、日本語に未来形は有るのか無いのか?
 
                   
 を、お届けするつもりです。


              ▽    ▽

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