未来の自分に幸せのおかわりを

11月のよく晴れた土曜日のことでした。

いつもより、ゆっくり目覚めたその瞬間、ポコポコとお湯を沸かす優しい音が、無防備な寝起きの耳を撫でました。

今日はきっといい日になる。

窓から溢れる朝の光に誘われて、もそもそとベッドを抜け出す朝8時。

ひとあし先に目覚めた夫が、慣れた手つきで茹で卵を作る姿が心地いい。柔らかいおはようを交換し、スーピーカーからピアノが響く2人だけの空間で、ゆっくりいただく週末の朝ごはん。

洗濯機を回して掃除機をかけて、残りの朝をゆっくり過ごしたその後で、私は夫と出かけることに決めました。

眠くなりながら電車に揺られたあと、仕事でよく乗っていたゆりかもめにも乗りました。休日の昼下がりの景色は新鮮で、たった一駅の時間さえ、観光客みたいに楽しむ2人。

浜離宮で見つけた秋から冬へ移りゆく景色。松も池も、空を飛ぶ鳥たちも、みんな気持ちよさそうで、散歩しながらとりとめもないことを話しました。

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ゆっくり散策した後は、そのまま銀座まで歩いて行きました。

陽が傾いた時間の銀座は、何度も来てるはずなのに、なんだか知らない街のようでした。きっと、この日の景色が銀座の記憶として残るでしょう。

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夫と付き合いはじめた頃、2人で入ったカフェを再度訪れました。ちょうど、奥の個室スペースが空いていて、とっても贅沢な空間で、美味しいコーヒーとチーズケーキを食べながら、これからの話をしました。これからの家をどうするかとか。

2人で同じ未来を見るということは、それだけで幸せなことのようです。

晩ご飯はどうしようかと話し合い、最寄り駅まで帰ってから、スーパーで食材を買い、夫はワインを選び、2人で台所に並んで簡単に料理しました。

テレビを見たり、本を読んだりストレッチをしたり、お互い同じ空間で別のことをしながらも、ゆるくつながる距離感で、静かな夜を過ごしました。


穏やかで、幸せで、あったかい、ずっと続いてほしい1日でした。

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この前お風呂に浸かっているときに、無意識に過去の嫌な出来事を思い出していて。

親知らずを抜いている間の恐怖心、仕事で言われて傷ついた言葉、あんなこと言わなければよかったと後悔する自分の言動。

忘れてしまいたい出来事を、わざわざ解像度を高くして、丁寧に頭の中でリピートしては、長風呂から出る頃には涙が出ていました。

脱衣所で火照った身体にひやりと冷気がふれたとき、ようやくハッと我にかえる気持ち。

「リラックスするためにお風呂に入ったはずなのに、何でわざわざ嫌なことを思い出しているんだろう」

頭がぼーっと暇してるとき、私はついついこの、ネガティブ感情のおかわりをして、自分で自分を虐げてしまうみたい。

だから私は、もっと幸せの記憶を、確かに過ごした楽しい日の思い出を、未来の自分に残しておきたくなりました。

落ち込んで、不幸の理由を探してしまいそうになったとき、幸せな思い出が、きっと私を助けてくれると思うから。

だから、この日のことを、ちゃんと覚えおきたくて、こうやって残しておこうと思いました。



美味しいおやつを食べたい🍪🍡🧁