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飼い猫ときっといつかまた

ずっとずっと昔に飼っていた猫が夢に出てきて、「スーさんに会ったよ」と教えてくれた。スーさんもずっとずっと昔に飼っていた熱帯魚。そうか、会えたか。

生き物はいずれその命を終えて、命を構成していた原子はこの星のどこかへ散り散りになってしまうのだけど、きっといつかまた会えると知っている気がする。

夢で会いにきてくれた飼い猫は、スーさんと話した会話をそのまま繰り返してくれて、あとは空が揺れているねとか、雲を食べたことがあるよとか、そんな自慢話もしてくれた。猫の目を通して見る世界を初めて教えてもらった。風はこんなふうにきらめくとか、光はこんなふうに波打つとか、小さなふわふわのからだ全体で伝えてくれた。

夢からさめて、餌をねだる飼い猫たちを撫でる。きっとまた会う日まで、風のきらめきや光の波を、伝えられたそのままに感じていたいと思う。

いただいたサポートは飼い猫たちのご飯やおもちゃへ生まれ変わります。