15周年のお祝いにあやかっちゃった
大好きなカフェが15周年を迎えた。
湖西の山間にある昭和レトロなそのカフェ。
お料理はもちろん、食器も家具もすべてに懐かしさがただよう。
還暦の私ですら、
「あっ、おばあちゃん家にあったわ~。」
なんて言葉が出てくるようなコーヒーカップ。
マドラーなんて見た瞬間から、カラカラカラとカルピスを混ぜる音が聞こえてくるほど。
お母さんに見つからないように、カルピスをたくさん入れて、濃いくすることに必死やったなあ。
そして、何より味わいを深めてくれるのが店主である。
帽子と眼鏡がお似合いのその店主。
一見無口に見えるのに、どうしてどうして。
おしゃべりがとまらない。
関西の言葉ではないその話し方が、わたしには新鮮で。
ぱっと言い切る言葉のチョイスがお気に入り。
その場で面白いと言うよりは、家に帰ってから、思い出しては笑ってしまうような、あとからじわじわくるやつである。
お笑い芸人でいえば、かなりレベルが高いのではないやろうか。
そんな店主が、15周年のお祝いを計画して下さった。
常連の方々が集まり、なごやかな午後のひと時。
店主の挨拶の言葉に、みんなが真剣に耳を傾ける。
一生懸命に話すその姿から、15年間のがんばりが伝わってくる。
おめでとうござます。
本当にいいお祝いの会でしたね。
映画の上映会や、ミニライブ。
そして、メインは、お餅つき。
みんながかわるがわるに杵を持ち、楽しそうに餅をつく。
つきあがると同時に、さっきまで寝ていたと思われるおばあさんが立ち上がり、いきなり仕切り始める。
寝てたんとちゃうかったんか。
どうやら餅をまるめる担当らしい。
小さな段差を超えるのも難しそうな歩き方やのに、餅の前に立つとまるで別人。
「小さくまるめるよ。大きくしたらあかんよ。」
と、真っ白なひとつくくりの髪の毛を揺らしながら叫んでおられる。
こころなしか、背筋もぐっと伸びている。
さっき、小さな段差を超えるのに、わたしに全体重を乗せてきた人とはとても思えんなあ。
老若男女が餅箱のまわりで、わいわいと餅を丸める。
お店の周りの景色にも心癒される。
野ブドウに柚子。
ススキにセイタカアワダチソウ。
棚田があったことをうかがわせるその空間。
向こうの方には琵琶湖の湖面がまぶしい。
楽しい時間やったなあ。
おまけに、事前のお手伝いもさせてもらい、
ちょっとしたお役立ち感も、もらっちゃった。
子どもの頃は、あんなに嫌やったお手伝い。
今は、お手伝いできることが、そして喜ばれることが、こんなにも嬉しいんやなあ。
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