小豆小町はなくなってたけど
久々に理不尽なことで、文句を言われた。
言われてる内容にも、納得できないし、
言い方にも、ムカッとくるし、
だいたい立場も違うのに、なんでこんな介入されなあかんねん。
と、文句を言われている間、ずっと考えてた。
そもそも、こんなに文句を言われるのは、久しぶりである。
しかも理不尽。
何度も言うけど、理不尽。
文句の内容には、つっこみどころ満載。
わたし自身、
えっ?わたし 今 文句言われてる?
なんなら、えらい怒られてる?
めっちゃ否定されてる?
それも、わけのわからん理由で?
なんでやねん。
と、驚いてた。
言い返したいなあ。
でも、待て待て。
ここで説明したとて、聞き入れなさそうやし。
ここは冷静に考えんと。
なんでこんなに文句を言わはるんやろ。
なんか事情があるんかもしれんけど、そんなん知らんしなあ。
言われている間、文句を言ってる人の顔をじっと見ていると、だんだんと目をそらしはじめ、同じことを繰り返しだした。
何度もなんども。
結局私は、にっこり撤退を選んだ。
「そうですか~。
なるほどね~。
そんな考え方もあるんですね~。
わかりました。
私が、立場をわきまえずに出過ぎてしまったってことですよね。
なるほどなるほど。
出方を考えなくちゃですよね。
はい。関わり方を考えますね。
いらんことせんようにしますね。」
と、ぽんぽんぽ~んと連発して、会話を終えた。
そして、その作業からの撤退を申し出た。
それで困ろうが何だろうが、もう知らん。
「立場をわきまえんとね~~」
というセリフで、撤退の意を他の人にも伝えた。
にっこり撤退。
でも、めっちゃ頑固な撤退やからな。
絶対に、なにがあってもせえへんからな。
撤退っていうたら、撤退やねん。
と、そんなことがあった後に、夫と、タイヤ交換のためにに車屋さんに向かった。
作業の間、お隣にあるコメダ珈琲で過ごすことに。
いつもは、ホットコーヒーしか頼まないけれど、
今日は、なんか、むしゃくしゃするし、ちょっと甘いものを食べたい。
でも、そんなにはいらん。
ほどよい量がいい。
そうや。
たしか、コメダ珈琲には、コーヒーの中にあんこが入っているしろものがあると、聞いたことがある。
なんや不思議な飲み物やなあと思ってたけど、
今日はそれに挑戦や。
と、意気込んで、店員さんに
「あの~。コーヒーの中に、あんこが入っているものってありますよね。
それをください。」
と、注文したところ
店員さんは、細くてきれいな眉を、さらに細めて、言いにくそうに
「申し訳ありません。じつは、メニュー改定がありまして、本日からその小豆小町はなくなったんです。申し訳ありません。」
と、おっしゃる。
まさかの今日から。なんて運がないんやろう。
せめて、あんこくらい、わたしを癒してくれたっていいやんか。
理不尽なことがあった日は、こんなもんなんやなあ。
仕方がないので、ホットコーヒーの注文に切り替える。
夫は、何やら、チョコレートとソフトクリームがドバーっとかかったしろものを、嬉しそうに頼んでいた。
そんな夫の顔をうらめしく思いながら見ていると、
さっきの店員さんがやってきた。
「あの~。小豆小町はなくなったんですが、コーヒーとは別にあんこを注文していただいて、それをコーヒーに入れて飲んでいただくことはできますが・・・。」
と、提案して下さる。
まだ、あまり慣れていなさそうな その店員さん。
お客さんの注文をきいて、それを調理スタッフに伝え、
出てきたものをこぼさんように、そ~っと、でも手早く運ぶことにのみ
専念してる段階に見えるのに。
そんな店員さんが、
わたしの願いをかなえるべく、調理スタッフさんだか、ベテランスタッフさんだかに、相談してくれたんやな。
わたしの注文に対して、そんな手間をかけてくれたんやな。
わたしの、ちょこっと甘いものを摂取したいという思いに、寄り添ってくれたんやな。
心が弱っている時に、そういう心配りは、もう泣けてくるほど嬉しい。
ありがとう。
わたしの気持ちにこたえようとしてくれて。
あなたの優しさに、すくわれたわ。
あなたのその優しさが、わたしにとっては、もうあんこと同等やわ。
ありがとう、ありがとう。
あんこの甘さって、じわっと身体にしみるやんか。
もう、それやったわ。
ほんまにありがとうな。
大げさ以外の何ものでもない、そんなセリフを、夫にぶつける。
さすがに、店員さんに直接ぶつけると、気味悪がられそうやし。
店員さんには、ていねいにお礼を伝えるだけにしておいた。
チョコレートどば~のしろものと、ホットコーヒーのマリアージュによる幸せを満喫している夫が、
だまって、自分の分の豆菓子をわたしの方に寄せてきた。
ま、豆菓子も大好きやからな。わたし。
夫には、ふつうに、
ありがとうって言うといた。