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かつてひとつもポートフォリオが通らなかった私が、もうすぐデザイナーになるらしい

こんにちは。1010です。大学院でデザインを学んで修士2年生をやっています。
来年の春からはデザイナーになれるらしいです。「らしい」と言うのは、修士論文が書ければの話です。絶賛奮闘中です。
デザイナー就活の際、Redesigner for Student さんや田口さんにすごくお世話になったので、少しでも恩返しできればと思いこれを書いています。

この文章では、ポートフォリオが全然通らなかった私が、研究室に配属されることをきっかけに「よいもの」をつくるというのはどういうことかを自分なりに見つけて、それが最終的に作品制作および就活の指針になっていく様子を順を追って記述します。

はじめに:ポートフォリオが通らない


私は就活を2回やっています。学部3年生の時と、修士1年生の時です。学部3年生の時は、就活の途中からコロナが社会問題になり始めて、世の中が見るからに不安定になり始め、院進を決意し、3月頃に就活を辞めました。…というのは半分建前で、その頃行きたかった企業の本選考にポートフォリオがひとつも通らず、今の自分ではデザイナーになれないな〜と痛感していたところもあります。回り道を許してくれた両親には本当に感謝しています。

ひとつも、通りませんでした。

ひとつも。

選考が通らなくても、悔しさより納得の方が勝っていたくらいで、自分の作品が全然好きになれませんでした。とりあえず一旦就活のことは置いといて、私は研究室で卒業制作に打ち込むことにしました。

こまったな〜

卒業制作:「よいもの」ってなんだろう

私は大学に来てから研究室に入るまで、リサーチやコンセプト設計に時間を多く割いていました。美大出でも芸大出でもない自分が作ったビジュアルには価値がなく、ロジックのある筋道立ったものを作るしかないと思い込んでいたからです。

一方、私の研究室はかなり自由で、ざっくり説明すると、いつ来てもいいしいつ帰ってもいい、卒業制作もテーマは好きなことを選んでいい、ただし「よいもの」をつくる、みたいな感じでした。
そして、先生も研究室の先輩も、同級生も、それぞれの「よいもの」を作る人たちでした。それは、グラフィックやプロダクトなどのアウトプットに関わらず、対象への深い洞察があり、そして何よりも美しいものたちです。どう考えてもそれまでやっていたことの延長線上にはありませんでした。

そんな中周りの人に手助けをいただきながら作ったのが卒業制作です。夏目漱石の「夢十夜」という小説が好きで、ひたすらその10篇のグラフィックをつくる、というものでした。目的も意義も使い道もなく、学内に同じような制作をしている人はいません。ずっと不安でした。それでもあれこれ悩みながらこれを作っている時間はあの時の自分には必要だったと思います。

目的も意義も使い道もないけれど、完成して光に当たったとき、自分の作品が綺麗だ、と思いました。大学に入ってから、自分の作品が綺麗だ、と感じたのは初めてでした。
ただ綺麗なものには説得力があること、自分が作ったものも綺麗だと思えることがわかったのはとても大切な経験でした。

結局、私にとっての「よいもの」は、「説得力のあるもの」でした。

(以下のnoteにも書きました。今読んだら恥ずかしいので要約すると、ロジックだけあってもきれいじゃないものは伝わらないし、ただ綺麗なものをただ綺麗なように伝えるときにもロジックが必要だし、ただ綺麗なものがなぜ綺麗なのかを他者に伝えるためのロジックにこそ価値があるのではないか、そういう感じです。)

それ以降、私にとっての制作の指針が決まっていきました。「説得力のあるものをつくる」です。

修士1年:ポートフォリオを「よいもの」に

そうして修士1年になりました。モリモリ作品を作ります。人に見せられるような作品が少ないので、コンペに出したり、インターンに行ったりしてテーマと考えるきっかけをもらいます。そしてひたすらブラッシュアップします。私にはプロダクト系を専門とする先輩も、サービス系を専門とする先輩も、グラフィック系を専門とする先輩もいたので、アドバイスをたくさんいただきました。

それと並行して、ポートフォリオも作っていきます。レイアウトは死ぬほど絶望的でしたが、他人のポートフォリオをリサーチしまくり、先輩方の厚いお力添えのおかげでなんとかver.1.0を作り切りました。

そのあとも心優しい方々にポートフォリオを見てもらったり、Redesigner for studentのTwitterアカウント経由で、田口さんにポートフォリオを見てもらったり、企業の方が開催されているポートフォリオ相談回などに参加したりしました。本当に、見せる人によって作品に関してもポートフォリオに関してもアドバイスの内容が全然違うので、腑に落ちるものを有難く受け取っていきます。基準は見せた人にとっての「よいもの」にできるかどうかです。

そんな感じで作ったポートフォリオは、いろんなところへ連れて行ってくれました。一緒に夜更かししてくれる友人と心優しい人生の先輩方のおかげです。ほんとうに…。

「よいもの」のことは、周りの人が教えてくれました

おわりに:「よいもの」をつくる

就活では度々、自分らしさが求められますが、私は自己分析などで悩まずに済みました。私の就活は「よいもの」をつくることの延長線上にあったからだと思います。
自分が他人と比べて特別なことなんて大抵無いけれど、作品には自分の普通が出ます。「普通、ここにはこのぐらいこだわるよな〜」「普通、これはこういう見せ方するよな〜」という自分の普通が、他の人の普通とどう違うかが、多分人から見た自分らしさです。自分らしいものを作るのは難しいけれど、作ったものは自分らしくなることがわかりました。

何か行動を起こす時、指針があると少し気が楽かもしれません。私にとっては「よいもの」をつくる、でした。いろんな人が分けてくれた「よいもの」のかけらだったからこそ、大事にできたと思います。

「よいもの」をつくる、と決めたら、道がクリアに見えました。

私の話はここまでです。ありがとうございました。

個人情報がガッツリ載ってるのでポートフォリオの記載は避けましたが、もし見たかったらDMくださればいくらでも見せます。お力になれれば。
Redesigner for Student さん、田口さん、お声がけくださりありがとうございました。

おまけ:2度目の就活でも、内定を下さった企業様以外面接は全然ダメでした。ン両極端!


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