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死ぬまで一生愛されてると思ってたよ


「ちょっと思い出しただけ」
のノベライズ本を読んだ。

多分楽しい日々があった恋人たちが、何かしらの理由でもう別れちゃってて、その楽しかった日々を回顧する系の映画だろうなーと宣伝映像からなんとなく推測。

その手の話、とても大好きな私。

大好きなんだけど。

映像で観てしまうと、なんとなく心がやられて、3日くらいは昔の恋人を思い出しておセンチになっちゃうから、私は一旦ノベライズを読んで、映画を観るかを決めるようにしている。

「花束みたいな恋をした」もその理由でノベライズを読み、文章だけでも1週間は昔の恋人のことを考えて何かとよくなかったので、(内容はとてつもなく良くて、とても好きな物語なのだけど、なにせリアルで共感できすぎるが故に心がやられた。もう一度言うけど物語はめちゃくちゃ好き。)映画館に行くのはやめにした。

でも今回の「ちょっと思い出しただけ」

これは映画を観たいと思った。

心がやられるとわかっていても観たいと思った。

主人公はダンサーの男と、タクシードライバーの女。

2021年7月26日をスタートに、2020年の7月26日、2019年の7月26日と、7月26日にスポットを当てて年を遡りながら物語が進んでいく。

それぞれの目線から描かれる、7年間の7月26日の物語。

合間で出てくるのは、2人の好きな映画「ナイト・オン・ザ・プラネット」のワンシーンと、そのセリフ。

2人の秘密の合言葉のようなそのセリフは、笑顔で交わされる日もあれば、そうでない日もある。

そして、様々な場面にかかるのであろうクリープハイプの曲たち。

すべてをひっくるめて、観たい!!聞きたい!!と思った。

長い人生の中で、2人の人生が交差したのは一瞬の出来事だったけれど、その時の彼らはこの時間は永遠に続くのだと信じて生きている。

一緒に目覚め、体操をし、準備をして、手を繋いでおでかけ。

誰もいない水族館でキスをして、夜空のコースをドライブ。

そんな7月26日の何気ない一コマ。

何気ないけど特別でキラキラと輝く一コマ。

現況を知りつつ、その日を一緒に思い返すように物語を読んでいくと、果たされなかった約束とか、楽しかったことが次々と出てきて、自分のことのようにちりちりと胸が痛む。

現在から過去に遡って、現在に戻るといったストーリー展開はとても効果的だなと感じた。

誰にでもきっとある、「ちょっと思い出しただけ」という時間。

7年前の今日なにしてたっけ?

あー、あの人とあんなとこ行ったなー、今どこにいるのかなー、元気かなー、とほんのり切ない気持ちになり、ま、ちょっと思い出しただけと気持ちを切り替えて今日という日を生きていく。

誰しも1度は経験する、日々の中に訪れる過去を反芻するちょっとした時間。

そのなんとも言えない切なさ、私が持ち合わせている言葉では表せない何かを映像化しているのだろうなーと思うと、とてもとても観たくなった。

1人でしっぽり観にいきたい。

そして帰って好きなお酒でも飲んで、どっぷり過去に浸かって、また新しい日を生きていきたい、そう思った。

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