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1ドル150円。円安について考えてみた その3。

この記事では、円安について私が考えている内容をお伝えしています。 

前回までの記事で、現在の円安の一つの要因として「日米金利差」があること、また、米国金利が高騰していることの背景、インフレ対策について書きました。

以下のこれらの記事も併せて読むと、流れがわかりやすいと思います。


さて、今回は「日本の低金利政策」についてお伝えします。

日本の低金利の歴史。

日本の金利といえば、メガバンクと呼ばれる大手銀行の普通預金の金利が0.001%だったり、銀行にお金を預けても金利は無いに等しい状況というのは、多くの人々の共通認識だと思います。

金利の推移(定期預金/1年)
(出所)野村総合研究所SuperFocus、日本銀行のデータを基に野村アセットマネジメント作成

上記の表のように日本の超低金利の時期は30年近く続いています。(本来はプライムレートや10年債利回りのデータを使いたかったのですが、よい表が見つからなかったので、個人定期預金金利の表を参考に)

このように生まれた時から低金利、人生のほとんどが低金利の環境だと、低金利の状況が常識で当たり前だと感じるのも頷けます。

ここから少し話が脱線して歴史の話になるので、ちょっとつまらないかもしれませんが、意外と学校の勉強のおさらいになると思いますし、簡単に説明していきますので、お付き合い頂ければ。

プラザ合意。

さて、日本の経済史にも大きな出来事がたくさんありますが、「プラザ合意」はその中でも重要な出来事だと言われています。

時期は、1985年9月22日。なにが起こったかというと、アメリカのドル高を是正するため日本を含む主要5ヵ国(アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、日本)が合意して為替介入を行いドル安にもっていく対策を行いました。

これは、急激なドル高のためアメリカの輸出が激減し、貿易赤字が膨らんだことに対しての各国の配慮。(当時のアメリカの国際社会での強い立ち位置が伺えます)

それによって協力した国の通貨は高くなり、日本では急激な円高が起こり、企業の輸出が減少、日本経済は低迷しました。

その景気対策として国内では低金利政策が取られ、表を見ても分かる通りプラザ合意の1985年後金利が下がっています。

バブル景気。

また、表ではその後すぐ(1990年)に金利が大幅に上がっていますが、バブル景気の到来です。

時期は、1986年12月から1991年2月頃まで。

バブルのきっかけとして、プラザ合意での「急激な円高」とその後の景気対策の「低金利」があると言われています。

低金利で資金を得た日本企業は積極的な投資を続け、超円高を背景に海外の不動産などを買い漁ります。

アメリカニューヨーク、マンハッタンに建つロックフェラー・センターを、三菱地所が買収したことも有名な話です。

また、不動産神話なるものが生まれるほど価値が上がり続け、低金利のローンでその不動産を担保にサラリーマンでも都内に自宅を購入し、際限なく不動産価格は高騰していった時代。

東京都の山手線内側の土地価格でアメリカ全土が買えるほど、日本の土地価格は高騰したとの逸話も、誰もが聞いたことがあると思います。

そして91年、加熱し過ぎたバブルは崩壊。表でもわかる通り金利が急落しています。

ここから日本の「失われた10年」と呼ばれる不況時代が続きます。

ちょっと脱線、中国の不動産バブル。

ちなみにこの現象、近年の中国によく似ていると感じないでしょうか?

中国不動産大手の恒大集団(Evergrande)や碧桂園(Country Garden)など、近年急拡大していた企業が、現在は深刻な経営状況になっているというニュースは最近よく耳にします。


これも、土地価格が上がり続けることを担保に、まだ着工もしていない建物を含めてどんどん販売するという、バブル経済時代の日本に似ている状況だと言われることがあります。

この件に関して勉強不足なので、あまり詳しくは説明できず申し訳ありませんが、興味深いテーマなので今後色々調べたいと思います。

金余りが生み出す資産価格の高騰。

また、現在の日本の不動産価格の高騰も、超低金利の中、上がり続ける住宅価格を担保に多くの人が投資目的で不動産を購入している状況は同様ではないのか?個人的に疑問を持つところです。

ただ、不動産以外にも、株、クリプト、フェラーリなどの高級車、美術品、高級時計、ポケモンカードまで、希少価値が見られる物に関して極端に値上がりをしている状況をみると、現金に対する信頼が落ち、余ったお金が行き場を失って資産価値がありそうなものに集中しているのだと考えられます。

これまでの記事で指摘している通り、通貨の信頼の毀損が要因であれば、バブル崩壊のよう大暴落にはならず、高騰した物の価格はそのままの可能性もあると考えています。

次回に続きます。

少し長くなりましたので、今回は以上です。

次回は、アベノミクスと大規模緩和について書いていければと思います。

アベノミクス政策は、現在の日本の状況を生み出した重要な内容だと思いますので、ぜひ楽しみにして頂ければと思います。

※内容について間違っている箇所や、何か気になる箇所がありましたら、ご指摘頂ければ助かります!

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