1ドル150円。円安について考えてみた その2。
今日の記事は前回からの続きで、円安について私が考えている内容をお伝えしています。
円安の一つの要因として「日米の金利差」があり、米国の金利は上がり、日本の金利は上がっていないと前回の記事では説明しました。
前回の記事は以下のリンクより。
ではまず、米国の金利が上がっている背景を考えてみます。
米国金利上昇の原因。
金利上昇にも様々な要因がありますが、その一つに、米国の国民生活を襲う急激な物価高騰(インフレ)を抑えるために、アメリカの中央銀行(FRB)が政策金利を引き上げていることがあります。
なぜ、政策金利が上がるとインフレが収まると考えられるのでしょうか?
まず、インフレとは簡単にいうと、市中に通貨が溢れていて通貨価値が下がる、もしくは通貨に対する信頼が揺らぐなどの状況で、同単位の通貨で買える物が減っている状態を指します。
そして、インフレを抑えるためには市中にあるお金(通貨)をこれ以上増やさない、もしくは減らす必要があります。
金利を上げると、企業などが資金調達しづらくなり、市中に出回るお金の増加スピードが緩やかになることによって、市中に溢れているお金の量が落ち着き、インフレの対応になるとされています。
さらに強力なQT(Quantitative Tightening)と呼ばれるFRBのバランスシートを縮小するインフレ対策も行われています。
米国では下記の流れでインフレ対策が行われています。
ちなみに、バランスシートの縮小というのはFRBの保有している米国債などの資産を売却、もしくは償還後再投資をしないという形で保有資産を減らしていくことをいいます。
少しわかりにくいかもしれないですが、金利を上げるのと同様、市中のお金を吸い上げて、市中にあるお金を減らすことで通貨価値を保全し、インフレを抑える効果があります。
なぜ市中にお金が溢れているのか?
そもそも、なぜ今の急激なインフレが起こっているのでしょうか?
こちらも様々な要因はありますが、ひとつに大規模なQE (Quantitative Easing)、量的緩和(政策)が行われたことがあります。
量的緩和とは各国の中央銀行が市場に大量に資金を供給することで、デフレの脱却や景気を刺激することを目的として行うものです。
これまでも緩和傾向でしたが、コロナ発生時の世界の混乱に際して、市民生活の保護や経済への悪影響を避けるため、これまでにみない規模の量的緩和政策が行われ、市中に大量のお金が注ぎ込まれました。
当時のニュースで、国民全員に現金給付、コロナ対策(ワクチン無償)や失業保険の拡充など、耳にした方も多いと思います。
以下のような対策を、前例のない程大規模に行なっていました。
その膨大な費用は税収だけでは賄えないので、国債を大量に発行して、それを中央銀行(FRB)が買い取るという流れで、お金が市中に溢れ、FRBが大量にこういった資産を保有している現状が生まれています。
ちなみに「stimulus」という単語が当時よくニュース記事に出てきたので、意味を覚えました!笑
景気悪化を避けながらインフレ退治。
お金が市中に溢れているなら、みんなお金を持っているから問題ないと考えられそうですが、そのお金が集中した株式市場や不動産、クリプト、その他資産を持った人々との格差があったり、インフレは治安情勢にも大きく影響しているようで、解決は急務です。
一方で、市場の理解が得られない急激なQTを行うと、企業の経済活動などが混乱し、今度は恐慌に見舞われるリスクも存在し、この数年FRBのこの微妙な舵取りに投資家たちは一喜一憂しているという現状だと個人的に理解しています。
さて、今回はアメリカの情勢について解説しましたが、次回はやっと日本の金利が上がっていない理由について書いていきたいと思います。
ここからが本題の円安、そして日本の構造的問題点についての話なので、興味があれば次回もお読み頂ければ幸いです。
※内容について間違っている箇所や、何か気になる箇所がありましたら、ご指摘頂ければ助かります!
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