1ドル150円。円安について考えてみた その1。
昨夜、約一年ぶりに1ドル150円をつけて、その後介入を思わせる値動きで急落。いずれにせよ円安が加速しています。
この近年の円安にはさまざまな要因がありますが、大きな構造的な問題が存在すると考えていますので、順番に解説をしてみようと思います。
まず、今回の円安がドル高ではないことを理解する必要があります。
世界的な通貨危機と深刻な円安。
実際、米国内も深刻なインフレに見舞われ物価が高騰しており、米ドルの価値は下がっている状況。
このインフレは欧州、新興国含めて全世界的な問題であり、世界的な通貨危機であると言えます。
全世界の通貨の価値が下がっている中、特に日本の円が大きく価値が低下していることを認識する必要があります。
日本円より通貨価値が下がっている通貨は、現代のハイパーインフレ代表通貨「トルコリラ」、財政破綻常連「アルゼンチンペソ」、戦争で西側諸国から経済制裁を受けている「ロシアルーブル」くらいしかないなどネットで言われることがあるほど。
先日、私は東南アジアを旅行しましたが、ベトナム🇻🇳やタイ🇹🇭での両替レートを見てみると、数年前よりも悪くなっており実際に現地での生活物価も高くなっていると強く感じました。
また、既にベネズエラやレバノンのように、自国通貨が完全に機能不全に陥っている国も近年増加しており、どの国の通貨が最後まで価値を担保できるかのチキンレースが終盤に差し掛かっているようにも感じます。
法定通貨を英語で表記すると、Fiat Currency(フィアット・カレンシー)と呼びますが、現物の金の裏付けがなくなり、各国中央銀行、政府の思惑でコントロールされるようになった現代の通貨はインフレが免れない構造になっています。
この辺りの話は以前読んだ「ビットコインスタンダード」という本にわかりやすく書かれていますので、興味のある方は一度読んでみてください。
日米金利差。
さて、話は戻ってドルに対しての円安には様々な要因がありますが、今回は「日米金利差」について注目します。
ご存知の通り、日本の銀行金利は非常に低く、メガバンクの普通預金の金利は0.001%です。
一方、アメリカの金利はニュースも報じられている通り、日本以上に上がっている状況です。
前提知識として、金利を決める基準となるのが「長期国債」の金利です。
長期国債とは10年物の国債をさし、現在の米長期国債金利は4.8%、日本長期国債金利0.75%です。
国債は国家の信頼がベースになっており、他のどの債権よりも信用が強いとされているので、国債の金利が様々な市中の金利のベースとなっています。
金利が下がることで企業は資金調達がしやすくなり景気が良くなりやすく、反対に金利が上がると景気後退のシグナルになるということで、投資家は特にこの「長期金利」に注目します。
また、中央銀行(米国はFRB)の決める政策金利も大きく関わってきます。
これまでの経緯で米政策金利はその折々に0.5%単位という大きな利上げを繰り返して、現状の金利まで上がっているのに対して、日本の金利はあまり上がっていません。
金利差が開くということは、米ドルで持っていた方が多くの金利が得られるということで、日本円より米ドルの需要が高まり、ドル高、円安にふれている一つの要因となっています。
この金利差の中、長期でそれぞれ米ドル、日本円を保有し続けた人の経済的な格差は、為替差から見られるもの以上に大きくなっています。
ではなぜ、米国の金利は上がっていて、日本の金利は米国ほど上がっていないのでしょうか?
また、そこから考えられる日本の大きな構造的問題について、次回のnoteで書いていこうと思います。
本日は以上です。
何か参考になることがあれば幸いです。
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