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助産師のつぶやき

妊娠中の異常⑤ ~妊娠中の糖代謝異常(糖尿病)~

100smile助産師です。
妊娠中の異常/産科の病気 についてお話しします。
今回は、「妊娠中の糖代謝異常」です。

【妊娠中の糖の代謝】

私たちが食事をすると血糖値が上昇しますが、
インスリンというホルモンが分泌されることで、
血糖値が低下し、正常に保たれています。

妊娠中は、胎盤性ホルモンなどの影響で、
インスリンの働きが悪くなり(インスリン抵抗性の増加)、
高血糖の状態になりやすくなるのです。

2010年の「妊娠中の糖代謝異常の診断基準の変更」により、
妊娠糖尿病と診断される人の割合が急増しました。(2.92%→12.08% 約4倍)

【妊娠中の糖代謝異常と分類】
 大きく3つに分類されます。

1)妊娠糖尿病(GDM)
 妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病にいたっていない糖代謝異常

2)妊娠中の明らかな糖尿病
 妊娠前に見逃されていた糖尿病
 妊娠中の糖代謝の変化の影響を受けたもの
 妊娠中に発症した1型糖尿病

3)糖尿病合併妊娠
 妊娠前にすでに診断されている糖尿病
 明らかな糖尿病網膜症があるもの

【検査・スクリーニング】
妊婦さん全員に、2回の検査を行います。
1)妊娠初期
 随時血糖測定(食事に関係しないいつもの血糖値をしらべる)

2)妊娠中期(妊娠24~28週)
 50gGCT (50gブドウ糖を摂取後1時間後の血糖をしらべる)

スクリーニングで異常があった妊婦さんには精密検査(75gOGTT)を行います。

【合併症:赤ちゃん&妊婦さんへの影響】
●赤ちゃん
・妊娠前や妊娠初期の血糖が高いと赤ちゃんの奇形が増加するという報告があります。
・巨大児(出生体重4000g以上)
・胎児機能不全(子宮の中で赤ちゃんの健康状態が悪くなる)
・子宮内胎児死亡(子宮の中で赤ちゃんが亡くなる)    など

●妊婦さん
・流産/早産
・妊娠高血圧症候群  など

【治療】
産科だけでなく内科も受診して、治療します。
また、赤ちゃんと妊婦さんに合併症がでないように、
血糖を適切にコントロールして出産へ望みます。

・食事療法
・自己血糖測定(自分で血糖を測定して記録します)
・インスリン療法(医師の指示に従いインスリンを自分で注射します)

出産後、血糖値は正常に戻ることが多いですが、
 産後6~12週に75gOGTTを行い、血糖値を確認します。

【予後】
・妊娠糖尿病の女性は、将来、糖尿病を発症するリスクが高くなります。
 (妊娠糖尿病でない人に比べて、約7倍糖尿病を発症しやすい)

・定期的に健診をうけ、糖尿病発症リスクを軽減するために、
 適度な運動と食事管理を心がけましょう。

・妊娠を考えている女性は、健診などで自分の血糖値を確認しましょう。

★参考資料★
一般社団法人 日本糖尿病・妊娠学会 「糖尿病と妊娠に関するQ&A」
https://dm-net.co.jp/jsdp/qa/

系統看護学講座専門分野Ⅱ 母性看護学〔2〕母性看護学各論.第14版.医学書院.東京.2021

日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会:産婦人科診療ガイドライン 産科編2020

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