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怒った顔って、必要?|指導者や親に必要な「伝え方」とは

部下が遅刻する・報告をしない、子どもが何度もふざける・宿題をしない。毎日生活していると、周囲に改善要求や注意したくなることが沢山あると思います。みなさんはそんな時、「怒った顔」で注意しますか?

■人はなぜ怒った顔をするのか

ルールを破っている人を見たとき。
約束を破られたとき。
期待を裏切られたとき。
想定外のことが起こったとき。
何度言っても同じ過ちを繰り返されたとき。
いじわるされたとき。
ネタバレされたとき。(ネタバレ禁止!)
セーブ前に電源落とされたとき。(絶望…)

様々なシチュエーションで、私たちは「怒り」を感じることがあります。もちろん私たちは人間であり、感情があるからこそ「怒り」を感じるのは当たり前のことです。

「怒り」を感じたとき、顔や頭に血が上ったように感じることがあります。これを「Flushing(フラッシング)」と言います。

Flushing(フラッシング)
交感神経系は、ちょっとした動揺のような短時間のストレスすら脅威とみなしてしまいます。数秒の間に瞳孔が開き、動悸は早くなり、全身の血管は広がって、血流をよくしようとするのです。この一連の反応は自律神経系の命令により自然と起こるので、自分で制御することができません。
研究者たちは、「Flushing(フラッシング)」と呼ばれるこの反応が人間だけに見られるため、進化の過程で重要な役割があるのではないかと研究を続けています。
怒ると顔が赤くなる


「怒り」を感じたり頭に血が上ったりするというのは自律神経系の命令により制御できませんが、一方で、その「怒り」を相手に伝えないといけないとき、皆さんは何か気をつけていることはありますか?


■叱る・注意する・指導する

部下に対して上司が指導する。
子どもに対して大人が指導する。

当然、こういった構図は一般的に必要なことだと思います。適切な指導や注意は人間の成長に必ず必要なものです。

しかし、ここで気を付けないといけないことがいくつかあります。


①    指導しようとしている内容は、
A:本当に誰が見ても改善すべきことなのか?
B:自分が気に入らないだけのことなのか?
C:あなたの指導不足によって引き起こされた可能性はないのか?


②    指導しようとしている内容は、
A:あなたが言葉で怒りと共に伝えた方が良いことなのか?
B:改善するために、厳しい言い方や指導する以外の方法はないのか?



こういったことをきちんと考えるようにしてみると、思考回路がこのようになります。


例)子どもが水たまりにダイブする

→①服が汚れるからダメ!と言いたい気持ちはわかる。
→②でも服が汚れて困るのは誰?洗濯する人?
→③服を洗うのはそんなに手間なのか?洗濯機に入れる&干すのは毎日していないか?
→④服にシミが残ることについて気にするのは誰なのか?
→⑤服にシミが付くのが嫌なら黒い服を選べばよかったかも?
→⑥子どもが「やってみたい」と思った気持ちは全て否定すべきか?
→⑦黒い服を着させて、自由に水たまりにダイブさせてみるという子ども時代にしかできない経験をさせてあげてもいいかもしれない!

つまり、指導しようとしている内容は「B:自分が気に入らないだけのこと」だったという可能性を受け入れ、「B:改善するために、厳しい言い方や指導する以外の方法」として「汚れてもシミになりにくい服を着させる」という方法に切り替えることで、みんながハッピーになれる可能性もあるかもしれません。

「B:自分が気に入らないだけのこと」という気持ちを受け入れるのって、実はとてもしんどいんです。きっとみんな「正しいことをしている」という自負があるし、「あなたのためを思って!」と考えていることも間違いではない場合もあります。

言葉もファビュラス


しかし、たった1度でも「B:自分が気に入らないだけのこと」かもしれない、を受け入れることができると、違う世界が広がります。

まるで急にスーパーサイヤ人になったり卍解したり領域展開できたりする気分になりますので、ぜひ一度でいいので、「B:自分が気に入らないだけのこと」で怒っていないかどうかを考える機会を作ってみてほしいところです。

みんなカッコいい!



■本当に改善を要求するなら

しかし一方で、「A:本当に誰が見ても改善すべきこと」も起こります。

殺人や傷害、窃盗や犯罪行為などはもちろんですが、人を傷つけることや悲しませること、理不尽なことや自分勝手なことなど、周囲に迷惑をかけたり人としてやってはいけないことだったりと、改善すべきことに出会うこともあります。

そんな時に、改善を伝える際、「怒った顔」で伝えていませんか?

冒頭でもお伝えしたとおり、「怒り」を感じたとき顔や頭に血が上ったように感じて「Flushing(フラッシング)」という状態になります。

その感情のまま、顔を真っ赤にして早口で捲し立てることはありませんか?
普段は使わない厳しい言葉やキツイ言い方をして、どうにかしてその人の悪い行いを改善させようとする事は誰にでも経験があると思います。

しかし、残念ながらその方法では多くの場合、改善されません。



■怒った顔は、内容を薄める

怒った顔で大きな声で指導や叱責をすると、相手は必ず委縮します。委縮する対象は、残念ながら「自分が悪いことをした」という内容に対してではなく、「あなたの怖い声や顔」に対して委縮しているだけです。

怖い顔で怒る・怒鳴る
  ↓
言い方や顔が怖くて耳を塞ぎたくなる
自己防衛本能が働き、全てをシャットアウトする
  ↓
「なんか知らんけど怒られた」
  (…のでまた繰り返す
「怒りが静まってよかった」
  (…その場しのぎが上手になる

こうして「何度言っても同じことを繰り返す」「いつも言っているのに改善されない!」という状況を生み出してしまいます。

効果なし…!!?


■笑顔の効果

伝える最適な方法、それは指導や改善要求をするときは必ず「笑顔」で、「怒り」の感情を含めずに伝えることです。必要なのは「内容」を「理解」し「改善」してもらうことであり、「怖がらせる」ことでは無いはずです。

特に子どもは、「悪意無く何度も親が困ることを繰り返す」ことがありますが、これは「まだ理解できていない状態」なだけです。

大きな声や怒った顔で言っても、残念ながら「なんか怖い」ぐらいにしか伝わりません。だからいつまでたっても「理解して改善する」という行動にはつながらないのです。

子どもたちは、大人が悲しむことをすることは大嫌いです。子どもってとっても正義感が強いんです。だから、これまでは「周囲の人が悲しんでいることをしていると知らなかった」からやってしまっていたけど、それを知ったとき、「絶対にやらない!」と理解してくれます。

人に指導したり伝えたりするとき、そんな立場になったとき。
笑顔で、決して怒らず、理解できるような環境と言葉で伝えていきたいですね。

でも一番怖いのは笑いながら怒っている人だったりする…


怒った顔って、必要?
|指導者や親に必要な「伝え方」とは|

株式会社minitts
代表取締役 中村朱美

Thanks!!

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