兄 1

兄は今現在の家庭内絶縁状態に至るまで
「ブスだな〜お前は本当にブスだ。ブスだよなお前」
などの言葉を私と顔を合わせる度に言っていた。

対する私はふざけて誤魔化すか、笑っていた。要するに我慢していた。心の中はズタズタだった。悲しくて悲しくて泣いていた。自分の部屋で思い悩み鏡を見て、憂いていた。
「私ってブスなのかなあ」と独り言ち、クラスの男の子や、友達にも思われているかもしれないと勝手に妄想してこの世にいてはいけないんじゃないかとさえ、思っていた。
思えばこの頃からだったのかもしれない。私は今でも鏡が嫌いだし、写真を撮ることも苦手だ。思わず自分の顔が視界に入ると気持ち悪くなる。吐き気を催してしまうのです。
「ぎゃ!何このブス」と思ってしまう。これは一生治らないと思う。
最近母が「何でそんなにブスって思い込んでるのかな」と言っていたが、母もちゃあんと一役買っている。さすが我が理不尽の兄の生みの親。

私が兄に「ブス」って言われたと母に泣きつくと
「それはあなたのこと可愛いと思ってるのよ」と言っていた。中学も高校も。その論理が通用(通用はしないか、散見される)のは小学生までじゃないだろうか。普通に意味がわからない。可愛かったら可愛いと言えば良い。それが照れくさいなら何も言わなければいい。コミュニケーションに自信が無いなら兄には話さないで欲しい。
いつまでも兄は子どものまま。母に悪態をついても最終的には母が、家族からの兄への批判の防波堤になりぬくぬくと守られていられる。
母のことは普段とても大好きで尊敬している理性的な人物だ。決して毒親ではないと思う。
しかし、兄が関わると少しどこかがおかしくなって、話が通じなくなる。別人格なのかと思うほどだ。
母には助けて欲しかった。母だけには。同じ女の母には。
3人兄弟で、うち2人が女で1人男だから、可愛くなるのか、自分に一際似た子が愛しくなるのか、今でも判然としない。

Twitterでも書いたが、
泣き叫び、嫌だ!嫌だ!と気が触れたかのようにすれば良かった。
私は兄の容姿に対して言ったことは無いし、父の容姿に対しても言及したことは無かった。
決して「ブスだね」なんて言ったこともない。逆に「イケメンだね」も言ったことがない。
なぜここで父に対して言ったのかと言うと、大学に入り、化粧をした途端
「今日はアイシャドウがきついんじゃない?」などと訳知り顔で言ってきたのだ。
ちなみに本人は脇毛を剃ったこともない。
お守りとして書いておくが、
私は脇毛を剃ろうがなんだろうがどうでも良い。男でも女でも剃りたきゃ剃れば良いし剃りたくなきゃ剃るな。私は見た目でもなんでもなく脇毛を剃る行為自体が面白くて剃っている。

自ら変顔して
「ブスだね」と言われても傷ついた。「ブス」という単語に過剰反応してしまっている。
この経験から良かったことはブスと他人に決して言ってはいけないと思えたことくらいだ。 
今も「ブス」という単語を打ちすぎてお腹の辺りが冷たく痛む。私はお腹の痛みのスペシャリストなので何が理由で傷んでいるのかすぐ分かる。

この容姿に関する発言は知能は関係ない。父も兄も国立理系だ。


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