見出し画像

100人カイギsummit2020 -DAY6 約束どおり解散した100人カイギの今- report

街で働く100人を起点に人と人とをゆるやかにつなぎ、都市のあり方や価値の再発見を目的とするコミュニティである100人カイギ。今回は、2020年に行われた  100人カイギsummit2020 のレポートをお届けします。

100人カイギsummit2020
 一般社団法人INTO THE FABRIC(所在地:東京都港区、代表者:高嶋大介、以下:ITF)の主催するコミュニティ、100人カイギ(※)は2020年11月2日(月)〜7日(土)の6日間、「100人カイギsummit2020」をオンラインで開催。
テーマは「つながる、その先」。
新型コロナウイルス感染拡大によって、これまで当たり前だった「人と出会うこと」に大きな変化が生まれ、コミュニティのあり方が問われています。 これからの時代、人と繋がる意味・価値を、多様な登壇者計43名とともに改めて考えるイベント。
WEBサイト

DAY6 『約束どおり解散した100人カイギの今』

この日はすでにカイギを解散している地域と、これから解散に向け準備を進めている地域の運営者3名。

画像1

【登壇者】写真左より
高嶋大介さん : 100人カイギ founder/見届け人(元港区100人カイギ)
金川暢宏さん : Small Standard Shibuya Co-Founder (元渋谷区100人カイギ)
加藤翼さん : 横浜100人カイギキュレーター

「各地の100人カイギを通して見た「つながり」とは?」「100人カイギが終わったあと、地域やコミュニティはどうなるの?」というふたつの疑問を運営者目線でトークしました。

各地区の『解散まで』でのストーリー

1. 港区からスタートした100人カイギ
100人カイギのスタートである港区100人カイギ。東京の真ん中である港区で開催されました。当初は手探りの状態で始まり、港区のイメージが強い登壇者から始まりましたが、回を重ねるごとに港区のローカル像をいくつも発見でき、最終回に向かうにつれて、次に呼びたいゲストの像がより鮮明になり一回一回が大変貴重な回となりました。

画像6

ゲストが100人に到達した時、「本当に終わっちゃうの?」という声も上がりましたが、終わりを設定したことにより、この試みが、異なる地域に引き継がれることになりました。それが、渋谷区です。

2.港区100人カイギのバトンを渡された渋谷区
港区100人カイギの解散後、運営の高嶋を通してこれまで全く面識のなかった3人が渋谷区100人カイギの運営をすることになりました。若者が集まるイメージの強い渋谷ですが、やはり渋谷区には既存のコミュニティが充実していました。
それに対し「場所だけがある」状態でのスタートとなった渋谷区100人カイギ。まずは自分たちで参加者を集めるために声かけをするところから始まりました。結果として、始まった当初からは予想もしなかったつながりが産まれていくことになりました。登壇者は、年齢も職業もバラバラ。副区長、88歳の喫茶店マスター、eggの編集長など多岐にわたりました。

画像7

金川さんは100人カイギの運営に関わることで、『新しいものを構築する感覚』を持つようになったと言います。イベントの登壇者を選ぶ作業が、渋谷という街を編集するような感覚だったのです。100人カイギの運営とは、その地域の像を編集すること、と言えるかもしれません。ゲストを立役者として、“渋谷らしさ”や、“渋谷を想う人”をつなげていきました。

3.『ここが好きだからしたい何か』が形になっていった横浜
運営の加藤さんの地元は千葉県柏市でした。しかし、横浜に縁を感じており、横浜で何かしたいという想いがあったので、横浜100人カイギを開催することにしました。

横浜100人カイギの立ち上げ当初、勤めている会社からは100人カイギの運営に携わることついて大反対に遭いました。会社の性質上、説明しきれないものや合理的でないものに対する第一印象がよくなかったのです。しかし、「実際に見てもらうことでしかわからないものがあるのだ」という思いから実行に移すことにしました。

画像6

新型コロナウイルスの影響を受けて最終回の開催は足踏みしていましたが、これまでの熱量が減らないうちに!と、2020年12月にオンラインとオフラインのハイブリッド配信という形で解散を迎える予定です。

横浜地区での開催が20回目を迎え、「今後は横浜の抱える問題解決などもしていきたい」と静かに話す加藤さんの熱意は絶えません。

大きな目標や壮大な社会的意義を持たないコミュニティの意義

実際の活動を通して、最初に横浜100人カイギの運営を反対したような合理的なタイプの人の方がかえって100人カイギにハマりやすい傾向にありました。目的のなさやアウトプットの見えないなかで産まれる余白(つながりしろ)が魅力となり、毎回何が出てくるか予想がつかない中で、そこにいる人が語る「好きなものに対する熱量」を感じる瞬間にこれまでなかった価値を感じるのかもしれません。

全20回の100人カイギで、地域の本来の姿、そこに生きる人たちを知ることになります。他者を知ることで、リスペクト(尊敬及び尊重したい気持ち)が生まれます。決まったあり方に押し込めるのではなく、登壇者の話を聞きながら、それぞれの関わり方・感じ方を、そこにいる人で『共有していく』100人カイギのスタイルは、幅広い層に『無条件の居心地の良さ』を提供しているのかもしれません。

最終回に向かうにつれて高まる熱量

100人カイギには、約束された終わりがあります。最初は100人カイギの意義など未知数です。回を重ねるごとに前向きな発見が加わり、じわじわと決められた終わりに近づいていくのです。

回を重ねるごとに「最終回は特別な時間を」という思いが高まるのも自然なことかもしれません。渋谷区では半年かけて最終回に向けた計画を練って行きました。

渋谷区では、回を重ねるごとに見えてきた渋谷像を元に『(渋谷っぽくないことをあえてしてみる)屋外の回』や『小学生の話を学校で聞く回』なども提案されるようになりました。渋谷区だからこそ、この場所でやりたいことが徐々に明確になって行くのも100人カイギ運営の特徴のひとつと言えます。

画像7


ゆるやかなつながりが柔らかく伸び広がっていく

100人カイギは、ゆるやかなつながりが柔らかく広がっていき、いつの間にか共通点や共感を増やしていきます。全20回の回を通して、地域や人の魅力を知ることで、それを守りたい人が増えていくのです。

加藤さんは、「いつの間にか自分の知らないところで、参加者同士の課外活動が広がっていることがある」と言います。

100人カイギには運営者同士のコミュニティが存在します。「運営」というひとつの共通点を通して、運営者同士のつながりが生まれていくこともあります。100人カイギの解散後も、それぞれの運営者がライフワークとして街と関わり、つながりつづけています。

現在100人カイギは50を超える地域に広がっています。100人カイギの柔らかくゆるやかなつながりが、今後も多くの地域でつながりを生んでいくことでしょう。

画像7

▽ グラフィックレコーダー Hitoshi Nakao さんのグラレコ ▽ 

画像8

画像3



100人カイギsummit2021

画像9



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?