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失敗すると感じながら、なぜヤフオク!で機械を買ってしまうのか

今回のテーマは、田舎で農業(家庭菜園、本格的な専業)をやっている人々に心当たりあるであろうヤフオク!との付き合い方についてです。

まずはYoutubeで人気の荒木農機さんのこの動画をご覧ください。お客さんがヤフオクでトラクターのアタッチメントを買ったら、じつは壊れていた!という物を修理しています。

この動画のコメント欄が辛らつで、来訪者たちが「いかにヤフオク!で中古農機を買ってはいけないか」を語っています。ヤフオク!で遠方の物を現物確認しないで買うリスクは、ほとんどが写真説明だけで実際の動作確認していない場合が多くNCNRだったり、説明と違う物が来て低評価をつけるとカウンターで低評価をもらう可能性があったり、そもそも動作保障が一切ないことが大半です。

それでも、なぜそんなにハイリスクな物なのに、現物確認もせずに、どこの誰かもわからない赤の他人の言うことを信じて買ってしまうのか?

そこにオークションという環境の心理が働いていると思います。

私の実体験:ほとんど負けっぱなし?

私もかれこれ10年以上ヤフオクで売買していますが、出品者の説明を見て遠方の物を買ってみると、8割がた失敗です。特に相場よりも安く、お得をうたっているものに限っては高確率でヤバイものが入っています。初期の頃の失敗例を挙げましょう。

私は長野県在住なのですが、過去に長野県、岐阜県、鳥取県、新潟県、岡山県からメッセージのやり取りだけで農機、自動車を購入しました。

最初に長野県のジャンクヤードで購入したマメトラは最悪で、ガソリンタンク内に水が入っていて泥水が出てくる状態で交換修理、古くて部品を探すのに手間がかかりました。

岐阜県のストアでかなり安く購入したトラクターは、外装はめちゃくちゃキレイだったのに燃料タンク内部とラジエターが腐食でボロボロ、交換修理に10万円かかりました。

鳥取県の自称スズキのディーラー整備士から買ったジムニーJB23は、エンジン内部が破損していてタービンも死亡していました。その交換修理費用に15万円以上かかりました。

新潟県、岡山県の離農した個人から購入した管理機とクローラーダンプだけは新品同様でした。

結局、平均価格よりも圧倒的に安いもの、入札が少ないものには、必ず闇の部分が潜んでいるのだと学習しました。

私の場合、ある程度の修理は自分でできるので、ジムニーのエンジンまわりの修理は自分で行い、トラクターに関しても溶接などが必要な個所は近所の修理屋さんが引き受けてくれます。そういう意味では、結局平均相場で買ったのと同じだけの金額がかかったということです。

急いで買わなきゃ無くなるという心理

オークションで失敗するかも・・と思いながらも購入してしまうのには理由があります。

地元業者はボッたくっていて高いし、地元には珠数が少ないからというのが一番の理由です。近所の農機屋でも中古品が売り出されていますが、正直、めちゃくちゃ高いです。ヤフオクで相場5万円で売られている物でも3倍の値段だったり、トラクターなんか新車買ってもほとんど変わらないんじゃないかって値段。

そりゃそうです、農機に形落ちなんて無いようなもので、20年前の機械と今の機械では、機能的にほとんど違いが無いのですから、まともに動作するものであれば、値段は安くならないはずです。

でも、そんなまともに動作するものを100万円単位かけて買っていたら、小さな野菜農家などは生きていけません。ホウレン草1束の売値が100円の世界なのに、補助金なしに設備投資で何百万円もかけてしまったら、元をとるのに百年もかかります。そのために補助金などがあるのですが、それは新車に限るのでヤフオク!では使えません。

ヤフオク!の恐ろしいところは、ポチっとするだけで買えてしまうこと、そしてウォッチリストや入札数を見ると他の人に買われてしまうんじゃないか?という不安感が、購入意欲を煽るのでしょう。

本来ならば現物を確認して、どういうものか良く確認しなければ買わないのに、同じものを狙っているライバルが全国にいる!焦って購入しなければ!と心理的に追い込むのです。

地元業者に手数料払うのは結果的に高くない

どうしても急に必要!ということでなければ、地元業者で買うか、業者の目で探してもらうのがベターです。

クボタなどのディーラーの人たちの話を聞くと、抱えているお客さんの乗り換えなど、きちんと出所がわかっている機械があります。値段は高くても、その価格に見あったメリットがあります。

結局、使いたいときに使えない、後々修理代がかかるようでは、仕事になりませんよね。クラシックカーのように趣味で眺めるものと違って、仕事の道具はその時にきちんと動かないとダメなのです。

どうしても買うなら離農品を

農業には離農品という、廃業につき手放しますという出品物があります。それが狙い目です。おじいちゃんが亡くなって在庫整理だったり、農業を辞めての整理だったり、その場合はお得なセット品がついていることが多いです。

廃業するような小規模農家のほとんどは、機械の使い方も荒っぽくない場合が多いです。逆に大規模な専業農家ほど、トラクターや機械をガンガンと酷似しまくって、これでもかって言うくらいに使い倒されているように見えます。

そして必ず現物確認をして、怪しい人じゃないかどうかを見極めてから入札。機械類はどんなに魅力的に見えても、絶対に現物確認しないで買ってはダメです。

以上を踏まえて、地元の出品者から再びトラクターを買ってみた

隣街で高年式の18馬力の小型のトラクターとハローを出品している人がいて、調査してみると相場価格だったので、いっぺん現物確認に行って見ました。

すると、思った通り離農品で、しかも車庫保管されていたので状態も良く、エンジン内部も無事、電気系統も大丈夫、ハローもセットでくれるというので、これなら買いだなということで、購入しました。

今までの失敗経験の箇所を全て点検して、これなら大丈夫という判断です。初期の自分なら、ちょっと予算的に高いから、もっと安いやつを探そうかな~と思っていたでしょう。目が肥えてきた結果です。

それでもヤフオク!のトラクターは闇が多い

最後に、こんな一例をご紹介します。

ヤフオク!を眺めていたら、同じ町内のとある農家さんとみられる出品者が、昔の古いトラクターを出品していました。

説明文を読むと、今も使用していて問題なく動作する、など良いことばかり書いてありました。しかし、私は近所でその実態を見ているので、ふーん、こうして人は騙されるのか、と納得することができました。

他にも、近所のボロ家の脇に、何十年も放置されていたクボタのサンシャインという古いトラクターがあったのですが、それに目をつけた業者が家主に飛び込み営業をかけ、ゴミ掃除になるからと、無料でユニックに積んで撤去していきました。

数日後、ヤフオク!にそのトラクターが30万円で売られているのを見ました。

私たちにとっては、「古くて動かないゴミ」であっても、トラクターを必要としている全国のどこかの人にとっては、それがお金になるのです。

そしてヤフオク!でトラクターを欲しがっている人たちのほとんどは、予算的に100万円くらいは融資を受けなくてもポーンとポケットマネーで払えるような人種のように思います。

それをわかっていて、狙っている業界だということを忘れてはならないですね。

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