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死後の自転車

 先日、来宅した妻の友人ケイトさんからこんな話を聞いた。

 どういうきっかけだか知らないが、先年亡くなった旦那さんのことで霊能者に見てもらったら、「旦那さん、面白いこと云うわねぇ。いい人がいたら再婚してもいいよ、まぁ俺よりいい人なんかいないと思うけどね。ですってw」と云われたんだそうだ。

 自分は一体、霊能者も占い師も信じないものだから、何だか随分ありきたりなことを云うものだと白けたのだけれど、妻とケイトさんは「旦那さん、絶対それ言うわ!」「でしょ?」「霊能者にそういう話してなかったんでしょ?」「何にも言ってない!」「ひゃぁ!」「きゃぁ!」「自転車!」と大いに騒ぐ。
 亡くなった旦那さんとも妻は二十数年来の友人であったし、この二人がそんなに云うなら或いは本物なのかもしれないと少し反省した。

 今はもう痛くも苦しくもないから、ママチャリに乗って走り回っているのだそうだ。穏やかに家族を見守りながらママチャリに乗って過ごすなら、それもいいかも知れない。
 そう思う一方、自分は郷里で『ルパン三世』を観て過ごしたいとも思う。

よかったらコーヒーを奢ってください。ブレンドでいいです。