悪運(2022.12.14の日記)
朝一で社長から営業部全員に招集がかかり、畜山生太郎(ちくやま・しょうたろう)の異動が発表された。
年齢的にそろそろバックアップに回ってくれとか担当先が思わしい状況ではないからとか、もっともらしい理由がついているが、実際は畜山が社内の和を乱すからどこかへ封じるのが狙いである。
畜山は社長の説明を神妙な面持ちで聞いていたが、異動先がまだ決まっていないと知ると、営業と他部署を連携させる部門を新設してそれを自身に任せてほしいと言い出した。
これには全員が内心で呆れた。そんな仕事には社内で一番相応しくない人物だ。なにしろ関わる者すべてを不快にさせるから、全社的に蛇蝎のごとく忌み嫌われている。どうやら一人だけ違う世界が見えているらしい。
なお、異動先に自分は工場を推しているが、多分通らないだろうとも思っている。
当人はどうやら営業から外れるのが嬉しくてならないようで、終日妙にテンションが高い。
そうして「さて、引き継ぎのことだがね…」と笑顔で自ら言い出した。何だか癇に障るのでいけない。
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