マガジンのカバー画像

百卑呂シ言行録

306
日常を切り出して再構築したもの。
運営しているクリエイター

2023年7月の記事一覧

30年後の気付き(2023/07/29)

 今日は副業に取り組んだが、職場のことでいささかどんよりしているせいで、いまひとつ捗らない。昨日発生した不都合について、社長から「お前らのせいだ」と思われているのがつまらないのである。  誤解を受けるということは、それ自体が随分ストレスだ。通常は誤解を解けば解決だが、あの人が相手ではそうそう容易いものでもない。だからこの先もしばらくこの状態が続くと思うと、いよいよどんよりする。また、不都合によって影響が出る得意先への対応も考え始めたらますますどんよりする――このことについては

読まれないメール(2023/07/27)

 出張から戻ると、オーウェン氏が「百さん、あのメールの件はどうしましょう?」と言ってきた。何のことだかさっぱりわからない。 「何のことだっけ?」 「昨日の、注文キャンセルの件。いつもの実績メールの最後の方に書いといたやつです」  オーウェン氏は毎日、その日の実績をまとめてメールで送ってくれる。ただ、その内容は別段必要のない情報——他からも入ってくる——なので、いつもその読まずに削除していた。  さすがに当人へそう云うわけにもいかないから、「それは見落としていたよ。失礼した

静かな憎悪、トラブル(2023/07/25)

 今日・明日と、イゴールさん同行で先週とは別方面へ出張である。  道中、運転しながらイゴールさんの話を聞いて、親会社や社長に対するこの人の静かな憎悪をひしひし感じた。一方で、段々人物が小さく見えてきたから残念だった。 ※  今日の宿はスーパー銭湯を併設しているホテルで、のんびり湯に浸かれたのは按配が良かった。自分は温泉などには別段興味ないが、広い風呂は気分がいい。  ただ、風呂と食堂はあるが売店がない。だから風呂上がりにビールを飲みながら軽く何かをつまもうと思っても叶わな

捜し物(2023/07/24)

 明日・明後日また出張なので、退社前にその準備をしたらタブレットが見当たらない。机の上で充電していなければ鞄の中にあるはずだが、どちらにもない。  先週末に出張先で使ったのが最後だから、忘れて帰ってきたのかもしれない。現地へ問い合わせようかと思ったが、家に忘れた可能性もあるからひとまず思いとどまった。なにしろ荷物が多かったから、スーツケースから出し忘れているなどはいかにもありそうだ。そう考えたらきっとそうに違いないと思えてきた。  帰宅して、まずはいつもスマホやタブレットを

詰めの甘さ、夏目漱石(2023/07/23)

 人に会う予定があって髭を剃っていたら、頭髪が毬栗頭になりかけているのに気が付いた。今はまだぎりぎりOKなレベルだが、2〜3日で随分見苦しくなるに相違ない。今週も出張予定が入っているから、今日のうちに床屋へ行くことにした。  行きつけの床屋はいわゆる1000円床屋で指名制度などはない。だから行くたびに当たる理容師が違う。今日は何だか小汚い浮浪者みたいなおじさんに当たった。  頭髪を小綺麗にする店で小汚いおじさんに当たるのはちょっと嫌だなぁと思ったけれど、仕事ぶりは予想外に速

波動、気付かないフリ(2023/07/22)

 19日から社長同行の出張で、晩は奢りでたらふく飲み食いして苦しいものだからそのまま寝てしまっていた。だからnote記事を書けず、チェックもあんまりしていない。  帰って来てから体重を測ったら3キロ増えていた。3日で3キロはなかなかのものだろう。もとに戻すのにきっと2週間はかかるに相違ない。 ※  今朝は何だかガタガタいう音で6時頃に目が覚めた。何の騒ぎかと思ったらウサギだった。こいつは餌がなくなると器を何度もひっくり返し、ケージをガリガリ齧る。もう少し待て、と思ってまた

ガラケーと海(2023/07/17)

 義母が、携帯電話が充電できなくなったので向後は家の電話か義父の携帯にかけてくれと云ってきた。機種変更などはせず、携帯を持つのをやめるということらしい。  義母は古いガラケーをずっと使っている。あるいはとうとうガラケーがサービス終了なのかと調べてみたが、別にそういうわけではない。義父はこういうのに詳しい人だから知らないはずはない。  どうやら義母当人の考えで不所持を決めたものらしい。それはいささか不便だから考え直してほしいと思う。 ※  午後から妻子と海へ行った。あんま

時代、立駐、インド人(2023/07/16)

 市のプールで娘が友達と遊ぶ約束になっていたから、妻と買い物がてら車で送った。  妻の話では、友達は母親同伴で来るのだという。自分が6年生の頃にはプールぐらい友達同士で行っていたが、今は勝手が違うのだろう。時代が進んで便利になったこともあるが、どうも窮屈になった面の方が多いように思う。  もっとも、男子と女子とで事情も違うだろう。あるいは昭和の頃でも自分らが放任されすぎていただけなのかもしれない。  娘が遊んでいる間、イオンへ行った。  入った入口から立体駐車場が近かったの

分身(2023/07/13)

 今日は問屋のスミスさんと一緒に隣県の店を回る約束だから、朝から現地へ直行した。  スミスさんは自分の中では “大津さん” になっているから、彼の名前を言う時はいつも意識して脳内で変換する。  初めて会った時は大津だったはずなのに、全体いつから彼はスミスになったんだろうかとネルソン氏に言ったら、「君は何を云っているのかね、スミスさんは初めからスミスさんだったよ。全体、大津さんとは誰なんだい?」と呆れた顔をされた。  それでよくよく頭の中を整理してみたら、大津とは自分の高校時代

深みとリアリティと黒歴史(2023/07/12)

 昼休憩中に、昔の日記の転記作業をした。 ※  3年前からGoogleドキュメントで日記を書いている。月日をタイトルにしたドキュメントを366個作って同じ日付に毎年記入するスタイルだから、去年の今日はどうしていたかが自然にわかる。成長するため云々みたいな説教くさいことでなく、単に面白いからやっている。  面白いの延長で、随分昔に手書きしていた日記も随時こちらへ転記し始めた。  社会に出たばかりの頃のは読み返して面白かった。なるほど、これがああなってこうなるのかと、人の変

リベンジ、呪詛、ベルト(2023/07/11)

 妻が仕事で朝早く出かけた。  時間になったら娘を起こすよう云われていたから、「おい起きろ」と言ってグリグリパンチをしたら寝たまま叩いてきた。以前はキャッキャと喜んでやり返してきたのに、随分つまらないことになった。  出勤時、リベンジのつもりで昨日と同じセブンイレブンに入ったら、今日は順番を抜かされることもなくスムーズに会計を終えられた。昨日の借りを返したようでいい気分だったが、考えてみれば普通に買い物をしただけで別段何も返してはいない。そう思ったらまた気分がどんよりした。

烏帽子親、酒(2023/07/09)

 昨晩、ケイトさんと光太郎君の親子が畑で穫れた野菜を持って来てくれて、遅くまで一緒に飲んだ。  飲みながら、光太郎君が将来結婚する時の話になって、父親がいない(先年亡くなった)ことをケイトさんが気にするから、親父の枠が必要なら結婚式ではわしが父親の席に座ろうと云ったら、皆感心した様子だった。  ただ、云ったはいいが、親族が大勢いるのを差し置いて一友人がそこまで出しゃばるというのはさすがに何だかおかしいようでもある。そもそもまだ具体的な結婚話があるわけでもないのだから、これから

マイペースと悪意、洒落た音楽(2023/07/06)

 定年再雇用者になったオーウェン氏について、彼の直属上司であるクリス・マッコウリー君がネルソン氏の席へ来てぼやき始めた。  マッコウリー君はオーウェン氏に残業をさせないよう、これまで任せていた作業をいくつか引き取ったが、どういうわけかオーウェン氏は定時になっても帰ろうとしないのだという。  これでは単に僕の仕事が増えただけですよ、やることはないはずなのに、一体彼は何をやっているんでしょう? と憤慨する。  それに対してネルソン氏は苦く笑いながら、「どこまでもマイペースな人だ

いい波に乗る(2023/07/04)

 定時の30分前に、出荷担当のオーウェン氏が「お先に失礼します」と退社した。早退にしては随分変な時間だが、元来奇行の目立つ人だから何も訊かずに「おつかれさま」とやっておいた。  後から彼の上司のクリス・マッコウリー君にオーウェンさんはどうしたのかと訊いてみたら、今日は早番だから早上がりなのだと云った。 「出荷部門には早番があるのかい?」 「残業なしで回せるように、今日から始まったんですよ」 「今日から?」 「オーウェンさんが定年で再雇用者になったんで」  昨日、オーウェン