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京極夏彦「狂骨の夢」

 一ヶ月以上かけて本日読了。
 夢と宗教(仏教、神道、基督教)をベースにした、二人の女の物語。なのだけど、今までの「魍魎の匣」「姑獲鳥の夏」の方が完成度が高かったような……?
 記憶の抑圧や入れ替わり、あまりにも複雑で細かい歴史、は、ミステリーにおいては邪道のような気がする。

 骸骨についての考察が面白かった。昔から骸骨は陽気で、歌い踊る。現世の重い肉体を捨てて、神と崇められたり、万病に効く妙薬になったり、「ただの汚い骨」になったり。最後は、「お前なんか大嫌いだ!」と黄昏時の海辺に叩きつけられたり。
 
 京極堂シリーズの女性たちについて、この本たちを貸してくれている同僚の言っていたことを思い出す。パワフルで悪魔級に魅力的な女性たちは、必ず物語の核となる。彼女たち自身が妖怪のこともあれば、周囲の登場人物(男性陣)たちを翻弄して妖怪にしてしまうこともある。
 
 貸してもらえるうちにシリーズを読破できるかは分からないけど、続きの「鉄鼠の檻」も楽しみにしておこう。

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