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「コーランを知っていますか」阿刀田 高

「無性に旅をしたくなった」

読了後の感想である。「異」なものに触れてみたいなぁ。世界は自分の知らないほとんどのことで出来ている、って自分の目で確かめてみたい。

イスラム教のことも殆ど知らないのだけれど、改めて一神教と多神教の違いが大きすぎて、よく日本で報道イメージされるイスラムとキリストの対立や、イスラムのなかのスンニ派とシーア派の対立などは、意外と大きな宗教観の中では些細な(といっていいほどの)サイズ感のことなのかもしれない。

彼らからすると、多神教的たくさんの形づけられた崇拝対象をもつ、日本人宗教観は、摩訶不思議の境地なのだろうなぁ。

細かい帰納的教えが散りばめられたコーランについて、心から納得理解できることはなかったけれど(本当の理解はアラビア語でしかできないらしい。聖書もコーランも、原書で読めないから苦手意識を抱いてしまう、というか訳され方がとても馴染みにくい、、)

作者が書いているように、身を委ねたくなるような音の響きやそのものの美しさ、を持つコーランって、それだけでも価値があるものなのだろう。

最後に作者のサウジアラビア旅記が記されており魅せられた。滅多に見られないモスクに重なる祈りの姿や、旅行者には開示されないメディナ、メッカについて…。

作者はもっと観光客に開示され、イスラムの敬虔で尊い宗教観が外国に正しく理解されるべき、としていた。

半分賛成で半分反対。

秘する祈りの在り方があってもよいと思う。何でもgoogle earthでつまびらかにされたらつまらない。

だからこそ自分でも旅したくなってしまうなぁ。






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