ばーたんのお味噌のおにぎり(その2)
以前ちょっとだけ書いたけど、わたしは母方のおばあちゃんを「ばーたん」と呼んでいる。
幼い頃はばーたん家に預けられることが多くて、ばーたんがつくる「お味噌のおにぎり」が小さい頃から大好物だった。
おにぎりといえば、お味噌のおにぎり。具は入ってない。ふわっと丸くにぎったおにぎりに、お味噌を塗ったシンプルなもの。
これがわたしのベストオブおにぎり。
そんなばーたん、3/10が誕生日で、3/13が我が弟の結婚式。このチャンスは逃すまい。
なにを隠そう、ばーたんは90歳にして携帯でメールもLINEもこなす(LINEは目がチカチカするからキライらしい)スーパーおばあちゃん。そこで誕生日おめでとうのメールをしつつ、流れで「お味噌のおにぎり」を直接おねだりする作戦に出た。携帯とは便利なものだ。
めちゃくちゃグルメなばーたん、そういえば梅干しに相当こだわりがあるらしく、銘柄を指定してお母さんが隣町まで買いに行くと言っていた。
孫、あっさりお味噌のおにぎりの約束をとりつけた。あとでお母さんから「ばーたんが喜んでた」と聞いた。
そして当日。
約束通り結婚式場に「お味噌のおにぎり」を持ってきてもらった。しかもふたつ。
「おにぎりの写真なんて撮ってどうするの〜?」なんてニコニコしながら言われるのもお構いなしに、写真を撮って食べた。だってこれがずっと食べたかったんだもん。
ふわっとしたほどけるお米。やっぱりおいしい。前よりちょっと甘い気がするけど。
「あ、わかる? タニタ食堂の味噌(マルコメから販売している減塩味噌)にしたの〜」
まじか。
そんな忖度してくれたのか。
そういえば私がタニタに入社したあたりから、実家ではタニタ贔屓になっていた。「あのプリンはうまいが、このプリンは好きじゃない」「あの煎餅美味しいんだけど売ってない」「あの体組成計は…」実家には評論家がたくさんいる(とくに父親)。その余波が、お味噌のおにぎりにまで及んでいたのだ。ありがたいが、これには驚いた。
結婚式の食事もすごく美味しかったけど、やっぱりお味噌のおにぎりの味が忘れられなかった。
もうひとつのおにぎりは、家に持ち帰って大切に食べた。手でつかむとボロっといきそうなくらいに柔らかくて、思わずフォークで食べた。
フォークをいれた途端、お米どうしが「はいお疲れ〜」とでも言わんばかりに崩れた。よく今までくっついてたな、と思うくらい。
きっとこれが、ばーたんの魔法だ。
小さい頃、手をベトベトにしながら無我夢中で頬張ったおにぎり。クチャって音をさせながら握ってくれたばーたんの魔法の手。食べるのは一瞬だけど、味の記憶は一生続く。
でもやっぱり、握りたてがいいな。
つぎは「タニタこまち」でつくってもらおうかな。
minami.n
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