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タワーマンションの未来。新時代の共用施設 その1 前編

どうも、サウザンドハンズ社長です。

本日は、タワーマンションの未来を妄想してみたいと思います。

テーマは、「未来のタワーマンションにできる新時代の共用施設」です。

各部屋玄関前宅配BOXや、テレワーク会議用防音ルームなど、もう既にこの世にあるもの、すぐにでも現れそうなものではなく、その一歩先を考えたいと思います。

タワーマンションとしていますが、一定規模以上の大規模マンションなら同様に当てはまる内容だと思います。

それではどうぞ。

きっかけは、とある人物の物件売却活動でした。

202X年Y月。

都内某所のタワーマンションを所有してそこに住むA氏は、住み替えのためその物件の売却活動をおこなっていました。

不動産市況の過熱感が収まりつつあり、なかなか想定通りに売却が進まず困っていたところ、たまたまSNSで見かけた投稿が目に留まります。

「友人に〇〇タワーのゲストルームに泊まらせてもらった!夜景がきれいなバーもあって、このままずっと住みたくなっちゃった!」

A氏はハッと閃きます。

「これだ!検討してくれるお客さんに、ただ共用施設を見てもらうだけじゃなく、実際に住んだ場合の雰囲気を体感してもらえば、きっと申込に繋がるぞ!」

A氏は、早速、売却を依頼している不動産会社の担当B氏に連絡しました。

A氏「Bさん。広告に、ゲストルームに体験宿泊できます!って謳ってもらえないかな。」

B氏「えっ?すいません、このような要望は初めてでして・・・。んー、どうなんだろう。規約上、ゲストルームをそのような使い方したらまずいような気がします。ちょっと問題になりそうです・・・。」

A氏「そうか。なら、広告には謳わなくていいから、今度から見学に来る人に、私から言うよ。”ゲストルーム試しに泊まれるよ”って。組合への届出は私の知り合いだってことにすれば問題ないし、費用は私が出すから。」

B氏「わかりました。私は聞かなかったことにします。」

A氏の目論見は当たります。

その後2組のお客様にゲストルーム宿泊込みで検討してもらい、2組目のお客様から申込を得て、無事に契約をする段取りとなったのでした。

その2組目のお客様は、折角ならばより実生活に近づけるためにと、前日は実際に職場からマンションに直行し帰宅をシミュレーション、翌日は職場に直接向かい、通勤シミュレーションまでおこないました。

その結果、実際に住むイメージがより深まったとのことで、申込前の最後の背中押しに繋がったようです。

そして無事に契約も終わり、満足していたA氏ですが、ここで問題が起きてしまいます。

ゲストルームに体験宿泊をしたものの、申込には至らなったお客様が、一連の話をSNSに書き込んでしまったのです。

物件見学に行ったら、売主様からゲストルーム宿泊を勧められるなんて、そうあることではありませんから、悪気なく投稿してしまったのでしょう。

マンション名は伏せられていましたが、ゲストルームの写真付き投稿でした。

そのゲストルームは、一風変わった特徴的な内装だったのです。

SNSをパトロール中であった同じタワーマンションの所有者に、”あれ、これうちのタワーマンションじゃん!”とすぐに気づかれてしまったのです。

当然、ゲストルームをこんな使い方して良いのか、疑問が浮かぶところであります。

舞台はマンション理事会に移ります。

通告を受けた理事会は、SNSの投稿時期やゲストルームの利用履歴を照合し、A氏が関わっていることを突き止めました。

A氏は、管理会社立会いのもと、理事会による事情聴取を受け、ばれたものは仕方ないと、経緯を全て説明しました。

とりあえず状況を把握した理事会でしたが、果たして、A氏の行為が規約に違反するのかどうか、話し合いは紛糾しました。

規約上では全く想定されていない利用方法であったからです。

営利目的の民泊やシェアハウスを禁止する規定はありますが、中古物件購入検討者を泊める行為は営利目的にあたるのでしょうか。

A氏の場合は自宅なので転売益云々は抜きにして営利目的とはみなされないかもしれませんが、完全に投資目的で所有している人が同じことをおこなった場合はどうなのでしょうか。

中古物件購入検討者は不特定多数者にあたるのでしょうか。

そもそも、直前まで接点もなかった人をゲストルームに泊めるという行為は許されるのでしょうか。

管理会社の担当は、「弊社の管理する物件で前例はない」としか答えません。

ひとまずA氏については、特段大きな問題は起きていなかったこともあり、お咎めなしとなりました。

しかし、今後、同様の事態が発生することを想定して、規約は改定した方が良いという話になりました。

最終的には、物件購入検討者をゲストルームに泊める行為が、ゲストルーム本来の目的を逸脱しているという認識から、禁止事項とする内容で、次回の総会決議事項となりました。

長時間にわたる理事会がようやく終わろうとしていたその時です。

「皆さん、ちょっと待ってください。」

つづく

東京都中央区日本橋にある不動産会社の社長が執筆しています。不動産取引のことや不動産業界のことなどを書き連ねていきたいと思います。何かご質問やご相談がございましたらお気軽にお尋ねください。noteのテーマのリクエストでも大丈夫です♪