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比喩は相手の奥底に杭を打ち込むようなものだ [くま日誌]123号


そういえば、先日、打ち合わせをしている時に「純粋想起」の話になりました。聞きなれない方もおられると思いますが、●●は?と言われて一番最初に思い出すモノのことを「純粋想起」と言います。

豚まんは? 551 (関西だけ?)
電子タバコといえば、アイコス 
ペットボトルのお茶と言えば、「お~い お茶」
消臭剤といえば「ファブリーズ」など。


人のニーズが発生する瞬間をコントロールすることはできないのですが、この純粋想起をさせるために、企業は様々な取り組みをしています。このことを自分の友人は「頭の中の土地取り」と表現していたのですが、秀逸すぎる比喩ですよね。

自分が純粋想起の獲得が重要ですよね、と発言したのですが、自分のような職業をしている人以外ですと、ピンとこず、「???」となっていたところに、友人の比喩で、(自分も含めて)その場の全員が、「なるほど!」と腹落ちしてしまいました。

「要するに、頭の中の土地を取ることですね。企業は人の頭の中の土地取り合戦をやっています。その中で最も領土を拡大した企業だけが、●●と言えば●●というように一番に思い出されるわけです。」


この比喩一発で、全員が「純粋想起」という言葉は忘れても、「人の頭の中の土地取り合戦」というイメージは忘れられないと思うんですよね。実際、すでに自分は、純粋想起と聞くと、「頭の中の土地取り合戦」というイメージが自動的に紐づくようになりました。

これってすごいことだと思いませんか?比喩と言うのは、頭の奥底に直接、杭を打ち込むようなものですね。秀逸な比喩表現は、そのような強力な武器であると言えるのではないでしょうか。

本を読み内容はほとんど忘れたとしても、書いてあった比喩は忘れることができない、ということもありますよね。


通常、あるコンセプトを先方に深く理解していただくことは、我々が思う以上に労力が必要な事ですよね。「あいつ、何度言っても理解してねーわ」という言葉ってよく聞きますし、自分でも「あれ、聞いたことがあったけど、忘れてたわ」ということもありますね。

なにか一つのコンセプトを自分の中にインストールしようと思うと、何度も何度も繰り返し、自分を躾けていく必要がありますし、それでもまたすぐに忘れてしまう、というものなんだと思っています。


例えば、知っているだけのレイヤー、たまに思い出せるレイヤー、よく思い出せるレイヤー、自動発動するレイヤーなどの様々なレイヤーがあり、深いレイヤーまでは中々到達することができない、とうような構造なんでしょうね。

このような表層的な階層をすべてスルーして頭の奥底に直接、働きかけるこ
とができるのが比喩表現であると捉えられるかもしれません。


「比喩は相手の奥底に杭を打ち込むようなものだ」という言葉があれば、(この言葉自体が比喩なんですが、)比喩と言う武器を使い、より効果的にコンセプトを共有できるようになるのではないでしょうか。

様々な比喩を効果的に扱えるようになるためには、日々の経験や思考が大事なんだと思っています。うまい比喩とともに言葉を操る人って素敵だと思いますし、自分もそのような人になれるように日々の生活における感度を挙げていければと考えています。

他の人が使う比喩に気づくってことが、第一歩ですかね。実際、自分が尊敬する人は、本当に秀逸な比喩を使われて周囲を腹落ちさせていますしね。

■まとめ
比喩というのは、人の中の深いレイヤーへ直接働きかけることができる強力な武器である。秀逸な比喩があれば、一発でその場の全員にコンセプトを共有し腹落ちさせることができる。

言葉を操り、秀逸な比喩を繰り出せるようになるためには、日々の生活での感度を上げ、他の人が使う比喩表現に気づくことがから始めてみたらいいのではないか。


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