見出し画像

”好き”な気持ちを見ていたい

今年からU-NEXTで映画を見ています。年末年始で時間もあり、1ヶ月無料体験に後押され契約しました。

最初の感想は、「めっちゃ便利!」

完全見放題のものやポイントで視聴するものなどいくつかの種類には分かれていますが、基本的に月額料金だけで見ることができます。

これまではTSUTAYAレンタルをメインで利用していました。陳列棚を眺めながら選ぶことや、紹介のポップを見ることは楽しく、「映画を見るぞ!」という気持ちにさせてくれます。ストレスがあるとすれば、借りたDVDを返しに行くことや、返却日までに見終わらなければいけないプレッシャー(?)でした。つまり・・・

・お店に行くこと

・借りる手続きをすること

・返却日までに見終わらなければならないこと

・返しに行くこと

これらすべてがU-NEXTになく、そりゃあ快適です。いつでも好きなタイミングで映画を見ることができ、見終わればすぐ次の作品に移ります。月額料金さえ払えば、特に制約のない動画視聴が可能になりました。

そして1ヶ月ほど利用し、ある疑問が浮かんできました。

「わたしは映画をちゃんと見ていないのでは?!」

そうなんです。ここ1ヶ月の私の映画を見るスタイルといえば、

・一時停止の連発

・常に映画を見続けている状態

・何を見ればいいのか分からない

この3つに尽きます。

常に見放題状態なので、返却日を気にする必要がなく自分のペースで見ることができます。その気持ちが安易な一時停止を頻発させていました。食事中のながら見で、気になる単語や時代背景など調べたり、twitterを見たりLINEをしたり。。。そのたびに一時停止し、結果1本見終わるのに何日も要することもありました。

また、見終わった後はすぐ次の映画を見ることができます。間髪入れずに次の作品を再生し、そしてまた一時停止と再生のループに入ります。常に何かの映画を見ている状態が続き、見終わった後に内容を反芻することも思い出すことも少なく、ただただいたずらに消費し続けていました。

自分のことですが、そんな状態が嫌になりました。最近は映画の食べ過ぎで胃もたれすら感じます。病気になった気がするのでその原因を考えました。

・食べ放題&飲み放題は自己責任

・優先順位の迷子

そもそもすべての映画を見尽くすなんて私にはできない話。にもかかわらず、いくらでも食べて飲みたいものがあるので、特に指標なく進み続けた私。そりゃあ病気になるよ。ビュッフェの時間制限ってありがたいんだなと思いました...

そしてコンテンツがありすぎて何から手を付けていいのか分からず、結果”とりあえず”手を付ける状態に。美味しいか不味いかは分からない。けど(見た目?雰囲気?)何となく気になる!手あたり次第行ってみようという気持ち。結果、路頭に迷いました。

吟味することなく映画を消費し続け、見たというより眺めていた記憶だけが残っています。(吹き替え版だともはや見ずに流していた瞬間もありました。すいません...)

気分が悪いので、自分が気持ちよく映画を見るって何だろうと考えることにします。そしたらTSUTAYAを思い出しました。(原点回帰)

「TSUATAYAに行くぞという気持ち」

×

「映画を見るぞという気持ち」

×

「週末に見る1本を厳選するぞという気持ち」

いろいろな気持ちが合わさって選んでいたなと思い出しました(なんか1本の重みが全然違う!)。もちろん定額サービスでも充実した映画タイムを送っている人はたくさんいると思います。ただ私にとって、見放題以上に、自分の体(気持ち?)を使って映画を選ぶということに大きな意味があったのだと気づかされました。

視点を変えます。たくさんのコンテンツがあって、そこから一つを選び取ること。これはTSUTAYAも定額サービスもそんなに変わらないと思います。では何が違ったのか。体を使うということ以外で私にとって重要だったのは、映画紹介のポップだった気がします。

誰かの”好き”が込められたポップが、私は好きです。ネットにある★の多さより、目の前にある温度のある”好き”が好きです。こういうのがきっかけになっていたのかな~と思います。ネットの人もポップの書き手も、私は顔も知らないし大して信頼もしていないです。けど、何かを伝えようとして伝えてくるものは、案外距離に関係なく響くんじゃないかなって思います。

コンテンツの大量消費時代に響くもの。それは、作品を本当に好きな気持ちです。好きで好きで、好きな気持ちを伝えたい。共有したい。そういう気持ち、結構伝わっちゃうんだな~って思います。そんなことを映画の紹介ポップから感じました。

誰かの口コミが誰かの口コミを呼ぶ。Instagramが商品購入のきっかけとなるのは、オフィシャルアカウント以上に各ハッシュタグから繋がる写真や利用者のコメントです。信頼できる人の情報は、コンテンツの魅力とパワーをさらに引き上げる。不特定多数の口コミよりも、いつも見ているあの人や、以前すすめていたものが良かったあの人の意見が欲しい。

ただ並べられている商品がたった1枚のポップで輝けるように、”好き”な気持ちは人も物も魅力的にしてくれます。これからも誰かの”好き”を見ていきたいし、私もそんな人物になれたらと思いました。