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《短歌四十五首》人の世・生の流れ

産まれしや
光まどろむ
混沌の
パレット侵す
母なる大地

起き眠る
光と影と
我と他の
枠を刻みし
阿鼻叫喚の

話す度
見よう見まねの
学ぶ汗
声の震わせ
手と足動き

膝と手の
甲で地球を
掴む朝
ニュートンの風
頬打つ宵かな

ハイハイと
立って進むは
種の起源
木から降り立つ
人の世の子

血縁の
無い他者拝む
空間に
驚く水面
なすがまま波

遊びや字
走る書くなど
学ぶさま
つぶさな柵の
箱庭を発つ

人群れて
机上の時の
長さ得る
天楼の中と
年長者の背

やや慣れし
使い方知る
紙と土
走る書く等
意思の芽生えよ

意思疎通
強弱視える
横の軸
表現するに
難しきかな

背が伸びし
退屈感に
ある辛さ
欠伸遮り
球遊びすつ

文章や
点数並ぶ
個性かな
部活動など
さく小宇宙

感慨に
耽る大人を
横眺め
歌を歌って
証書貰いし

人が増え
理不尽感ず
時も増え
遊び学びや
指数関数

あまりにも
悩みの雲の
堆積や
脳と心の
二元を感ず

感動は
エゴの産物
クソ喰らえ
クソな勉強
理想現実

穏やかな
桜が散りし
歩道橋
自由意志とは
素晴らしきかな

不毛なる
興味無きこと
投げ捨てし
目立った釘を
好む夕暮れ

将来を
算盤せよと
言う輩
本でも読んでる
方がマシかな

また人が
莫大に増えて
桜散る
何をしようか
迷う樹形よ

種々遊び
自然に覚えし
学問は
斜に構えつつ
興味僅かに

酒飲みし
旅もそこそこ
某に
見出されつつ
仕事にハマる

幸福の
定義をパズルの
如くはめ
疑問符浮かぶ
頭疑う

我作る
問いを叩いて
壊さねば
発狂し得る
抽象の風

情報と
芸術の雨
燦々と
打たれる向きの
分からぬ迷い

生活の
落ち着く原理
魚釣る
ルアーの仕組み
針と柄の位置

耳燃ゆる
甘言響く
除夜の鐘
帳開きし
茶柱も立つ

あれやこれ
快や不快に
飲み込まれ
飲むのかどうか
いやどうなのか

習慣の
慣性働く
生活の
転じ続くは
車輪の如し

和の精神
玉石混交
他の競争
鑑み上手く
こなす儀式に

何に慣れ
何を捨てたか
忘れつつ
文字で記憶の
埋め合わせする

若き日の
悩み忘るる
気も立つが
周りを眺め
どうなのだろうか

信頼と
権威の幅の
振り子揺れ
嗜好の奴隷と
化す夜明け頃

遊ぶ者
家庭を持つ者
消える者
思い出の潮
引いては流れ

万象の
数段登りし
先にある
意味や意義伸ぶ
広い踊り場

責任に
重さが見える
パレットの
色を分けたく
去る微笑みの

適量に
コップ満たされ
打つメモリ
不安芽生える
完璧や何処

忘れかけ
誰の功名
聞く真昼
政治芸術
あちらやそちら

主体抱く
翼出で立つ
あぁ荒野
枯れしカナリア
どこまで飛ばん

親の背の
小さき様を
眺むれば
苦労気兼ねを
想う孝行

人間の
性が腑に落ち
四十頃
ウツツとユメの
間凝視す

もや晴れし
理論実践
交錯す
夕の確信
明日の展望

限りある
地理と歴史の
点として
流れる小石
よはどの道へ

肉体と
精神の和調
朝感ず
夜考えし
分裂の性

天頂に
重力の虹
殻の熱
循環の狭間
道を踏む足

春秋の
花が咲く散る
季節の矢
廻る稲妻
我も零の環

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