【この頼りない背中からはいつか翼が生えて綺麗な夜空へ連れてってあげるから】④


僕は専門学校へ進学した。


地元を離れて、寮暮らしをはじめた。

エンジニアになると言い実家を出てきたが、本当は高校3年間バンド活動に明け暮れた僕はステージから見える景色を忘れることができず、


新しい土地で活動することにした。
(ちゃんと学校には行きましたよ。)


月1〜2回のライブ活動を地道に行ってきた僕たちに

『自主企画イベントをやらないか?』

とライブハウスのオーナーから声がかかった。


これはチャンスだと思い、受けることにした。


初めてのことで、右も左もわからなかったけど、1人でも多くのお客さんに来て欲しくて、気づいたらウユちゃんにも連絡していた。


久しぶりの連絡だったけど、ウユちゃんは遠くから来てくれた。


イベント自体は初めてだったけど、そこそこ盛り上がって良かった。


ウユちゃんは終電逃すくらい楽しんでくれていた。でも、帰る手段がなくて僕の家に泊まってもらうことにした。


僕は次の日も県外でライブが入っていて、移動しないといけなかったので鍵を渡した。


県外でのライブも盛り上がり、その時のことをウユちゃんに自然とメールしている自分がいた。


ライブ終えて家に帰り着くと、頼んでもいないのに洗濯物や洗い物をしてくれていた。


この時、僕はこの人を大切にしないといけないと思ったことは今でも鮮明に覚えている。

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