見出し画像

筑波大学芸術専門学群を小論文だけで突破した女の受験記録

時は2022​夏─────

筑波大学芸術専門学群を目指す限界受験生(19)は、とある壁にぶち当たっていた。

小論文受験の情報が、少なすぎる

頭を抱える フリー画像 検索

ここで芸専の入試について少し説明しよう。
(公式情報を噛み砕いただけのものなので分かる方は飛ばそう)


芸専は3年前から入試制度が大きく変わり、午前2種、午後5種の異なる入試方法からそれぞれひとつずつを組み合わせて受験できるようになった。
新制度によって大きく変わった点がある。
一つ目は、入試方法に関わらずに入学後の専攻を選べるようになったこと。二つ目は、自分の得意な入試方法を選んで受験できるようになったことだ。

これはいったいどういうことか。
以前であれば、芸専の中にいくつかの専攻(領域)があって、美術史なら小論文、ビジュアルデザインなら平面構成、といったように、受験生が大学で学ぶ分野を決めた上で、定められた一つの入試方式で受験しなければならなかった。ほとんどの大学(美術系に限らず)はこのやり方だろう。つまり行きたい専攻によって入試形態が違うということだ。

新制度では、芸専という大きな枠組みで入試が行われる。例えば小論文で受験しても入学後にビジュアルデザインを専攻することができる、というような感じだ。つまり、入試形態に入学後の専攻が縛られないということ。それに伴って、自分の得意分野で勝負することが可能になったのだ。

噛み砕いたつもりだったが余計にわからんくなってしまった気がするので、詳しくは芸専のHPを見て欲しい。公式を信じろ。



この新制度の採用により、デッサンや構成などの大学受験的な美術経験が無い人にも、美術を学べるチャンスが与えられることとなった。実技が無理でも小論文で入ればいいからね。総合大学ならではの懐の広さと言えよう。

私はこのチャンスを逃すまいと芸専を志望した。中高ゴリゴリの吹奏楽部だった私は、デッサンなんて美術の授業でしかしたことがない。多くの同級生が旧帝を目指すような地方の普通科高校において、ただひとりデッサンの練習をするというのは正直気分が乗らなかった。また、芸術系に行きたいと思ってはいたが、自分が学びたい分野がハッキリと定まっていなかったため、入学後に専攻を決められる芸専がとても魅力的に映ったのだ。

……マァ志望を芸専に固めるまでにもう一悶着あって浪人しているのだが、長くなるのでこれはまた別の機会に。

​話を戻す。
かくいう新制度に変わった芸専であるが、入試形態が変わったため、当然問題も変わる。そのため今までの過去問があまり当てにならなくなってしまったのだ。
そしてこれの影響が顕著に現れたのが小論文。ただでさえ小論文入試をメインに課す美術系大学は少ない。私は午前小論文、午後小論文(デザイン構想)で受けようとしていたのだが、そもそも以前までは小論文が美術史しかなかったため、小論文の過去問はあまり参考にならなかった。デ構は環境デザイン寄りのことを求められるため、建築系の過去問のほうが参考になった…気がする。とはいえ問題形式が違うのでなんとも言えなかったが。

このように、私の選んだ小論文入試は合格サンプルが非常に少ない未知の領域であった。
そもそも小論文という入試形態自体、前期試験一発で扱う大学は少ない(ほとんど後期や推薦)。そのうえ評価基準が曖昧なため、一般に点差がつきづらいと言われる。どう転ぶかわからない、若干の博打感がある入試方法なのだ。

前置きが長くなってしまったが、小論文入試特攻の不安をわかっていただけただろうか​────


冒頭から時は流れ現在2023年、私はもがき苦しみながらもなんとか芸術専門学群に合格した。

一年前の自分は本当に手元に情報がなんにも無かった状態だった。ピチピチの文学部一年生だった私は、人文系の学びに全く適正が無いことに入学早々に気づいた。その時の絶望感たるや。文学部に見切りをつけ、兼ねてから憧れを抱いていた芸術系大学の再受験を試みるも、見知らぬ土地に頼れる人などいるはずもなく、1人アパートの中で必死に情報を集めていた。高校の美術教師にダメ元で連絡を取ったり、芸専の先輩で小論文受験で入った人のTwitterを探して質問攻めにしたりした。今思えばかなり見境ないことをしているが、当時はそれはもう必死だった。(親に再受験の許しを貰うのもかなりエネルギーが要った 親に感謝)
そんなこんなで私は大学休学の手続きと再受験の準備を7月までに終え、入試までの半年とすこしの間芸専に受かるための勉強をし、3月に晴れて合格したのであった。回想終わり。


ここでみなさんお待ちかね、私の受験期の流れと対策について記しておくこととする。一年前の自分が喉から手が出るほどに欲しかった情報をたーんと詰めておいたつもりなので、未来のある芸専志望の若者のお役にたてればうれしく思う。

⚠️繰り返すが私は現役ではなく再受験生だ。7月まで別大学の文学部に通っており、7月から大学を辞めて予備校に通っていた。予備校は高校と同じようなもんだと思っていただきたい。小論文の二次試験対策を始めたのは再受験のときからなので、そこらへんは参考になると思われる。


2022
6.芸専受験の腹を括り、大学を辞めることを決意
7.大学を辞める→予備校の夏期講習に通う
8.夏期講習
9〜11予備校の授業 並行して二次対策(月3回の通信添削)
12.ラストスパート共テ勉強

2023
1.共通テスト(563/700)(8割)
2.二次対策(ほぼ毎日の通信添削、本番3日前から対面添削)
二次試験 (543/700)(7.7割)
3.合格💮

☝️個人的に受験で重要だと思ったポイント
①共通テスト対策を怠るな
全体にも言えることだが、特に小論文受験者は共通テストに力を入れるべきだ。なぜかというと前述の通り二次で差がつきにくいから。7.5〜8割あればまあ大丈夫、8割以上あったら安心だ。
ちなみにデッサンで入った人の中には、共テ7割ほどで二次が9割超えの猛者もいるが、これは優劣の順番がつけやすい実技(小論以外)だからこそ起こり得たことだろう。二次小論文で挽回を頼りにするのはかなりリスキー。私の他に一般小論で入った人知らないのでなんともいえませんが……

②小論文は美術のわかるやつに添削してもらえ
これは私の反省。二次試験前にずっと予備校の国語教師に添削をしてもらっていたのだが、絶対に美術がわかる人に添削してもらった方が良かった。やはり美術・デザインの視点から見た物事の考え方、捉え方は直接人に教えてもらったほうが自分の身になる。本番直前に美術系の予備校で見てもらったが、自分の回答への向き合い方が180度変わった。見てもらっていなかったら多分受かってない。

二次試験の対策とポイントについては、以下の手書き受験記録を参照してほしい(字が汚いのはご愛嬌)。黒塗り部分は県外の美術系予備校、白塗り部分は地元の予備校だ。

二次試験対策
本番の様子1
本番の様子2


成績通知

最後に告知をしておく。
11月頭頃に筑波大学では雙峰祭(いわゆる文化祭)が行われる。実はこの裏で、芸専の活動発表の場として芸術祭(略して芸祭)というイベントが行われている。⬇️昨年度のもの


雙峰祭にかすんであまり知られてはいないが、実は芸祭は芸専のオープンキャンパスを兼ねて開催しているのだ。昨年までは完全オンラインだったが、今年からはオンラインと対面を上手く活用して行えたら良いなあと考えている(まだ企画立案状態だが)。
そして、この芸祭オープンキャンパスでは、受験生のためになる入試情報が盛りだくさんの企画を行う。本っ当に見て欲しい。マジで。例年、受験生が欲しい情報がめちゃくちゃ集まってるから。例を挙げるとするならば、合格作品例もどきが見れたり、受験方式の異なる先輩にそれぞれインタビューしたり、専攻ごとに魅力を語るラジオの配信があったりする。知りたいよね?!?!観たいよね?!?!
昨年度は広報が間に合わなかったせいで、せっかく良質なコンテンツが揃っていたのにあまり受験生に届けられなかった(実際芸祭の知名度は低い私も入学後に知って地団駄を踏んだ)
参考までに去年のHPを貼っておいた(このHPも全部手作り)。特に2個目のリンクのオープンキャンパスのところを見て欲しい。こういう情報が欲しかったんだよ1年前に!!ポッドキャストもまだ聴けるぽいのでぜひ。

そしてここまで根気強く読んで見てくれたあなた、どうか2023の芸祭も是非見に来てほしい。11月は受験生の追い込み時期で時間が無いかもしれないけれど、どうか……!!遠方の方に向けてのオンライン受験相談や動画配信など、いろいろと工夫をしていきたいと思ってるので……。息抜きがてら覗いてくださるととても嬉しい。私は芸祭実行委員オーキャン班になったので現在絶賛準備中である。楽しみにしててな!

追記‼️
2024/01/15
共通テストが終わったようで!あれから一年ですか、早いものです。
今更ですが2023年の芸術祭、無事終了いたしまして、私のオーキャン委員としてのお仕事も終わりました。来てくださった方ありがとうございました!
さて、企画の一環で私たちは昨年に引き続きポッドキャストを作りました。その名もFM298芸祭ラジオ2023。こちら👇から聞けますので、ぜひぜひ聞いてみてくださいね〜 メチャ・面白い・先輩方がたくさん出演してくださったおかげで聞き応え抜群です🎧

筑波大学芸術専門学群ってどんなところ?全14領域の先輩をゲストに招き、授業や領域の情報から先輩の日常まで、様々なお話を伺っていく楽しいラジオです。
Spotifyにて現在順次公開中!

追記おわり

以上が私の長い長い芸専入試との戦いの記録である。入学してまだ1ヶ月ほどしか経っていないが毎日が新鮮な事ばかりでとても楽しいので、芸専を目指す方々には是非頑張ってほしい。
検討を祈る!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?