見出し画像

日経をめぐる報道がちらほら、な件

最近、日本経済新聞社をめぐるネガティブな報道がちらほら出てきている。

FACTAの「日経新聞「看板記者」が続々退社/中堅記者にあらゆる仕事の皺寄せ/追い詰められ病院に駆け込むぐらいなら……」(https://facta.co.jp/article/202204037.html)や、文春の「日経新聞の危機 依願退職53人、ハラスメント相談30件」(https://bunshun.jp/denshiban/articles/b2714)や「ウクライナ侵攻報道は「千載一遇のチャンス」日経新聞 編集局長の発言に「遺憾」」(https://bunshun.jp/articles/-/52914)などだ。

これらの報道の要点は2つで、「偉い人の人間性がヤバい」「労働環境が悪すぎてやめる人が続出している」という話である。

私も知らなかったが文春によれば、「昨年1年間の依願退職者数は53人。2016年の30人と比べても倍増近い。さらに驚くべきは内訳で、20代が24人、30代が18人。つまり依願退職者の実に8割が20〜30代の若手社員」という。

ちなみに、この記事中で言及されている「ツイッターのフォロワー数37万人を誇る、精緻な解説で人気だった日銀キャップ」とみられる人もtwitter上で退職する旨を公表し、新アカウントを設立して活動を開始することを明らかにしている(https://twitter.com/goto_finance)。

まあ「抜いた」「抜かれた」という競争のなかで、記事の内容が上の人間の命令で「コレじゃない」的な内容になり、結果取材先から文句が来る、なんてケースは決してまれではない。ひっきりなしに方々から電話がかかってくるなかで肉体的にも精神的にも追い込まれたり、いよいよ書くことが嫌になってしまう、なんていうのは想像に難くない。

私は一介の記者に過ぎないのでその苦労など大したことはないのだろうが、キャップ(記者をまとめる人)やデスク(記者の書いた原稿をはじめにチェックする人)といった「中間管理職」のクラスの人は見えないところでいろんな重圧がかかりつづけ、そして壊れてしまうのだろう。


しかしまあ、黒川氏の賭け麻雀のときもそうだが、やはり文春の取材力と言うのはとんでもないものだ。取材とは何かということを、日経を題材にありありと世に示したように思う。

文春に限らずだが、こういう大手メディアの持つ課題・問題点を大きく紙面に展開することは(最近は増えてきたが)これまでそう多くはなかった。

人間ひとりでも自己批判をするのは大変なものだが、組織だとなおさらである。同じように、大手メディアは偉そうに会社経営の課題・問題点などを批判するくせに、自社のことや内輪の業界の話になるととたんに声が小さくなる。よそにはぶつくさ言いながらも自己批判を怠ってきたのがマスメディアである。必要悪(まあ「必要」なのかは知らないが)なのだといわれればそれまでだが、およそ誠実な態度とは言えない。

今回の報道を受けて日経は動くのだろうか。これまで通り何も変わらないとするならば「たかだか報道など会社ひとつ改善させるほどの意味もない営みだ」ということを自ら証明するだけの話である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?