【経済】事務負担が大変なので減税はしないが事務負担が大変でもインボイスはやる
異様にガソリンが高い昨今である。
ガソリンが高いままである一因が、ガソリンにかかる税金の存在がある。難しくいえば「揮発油税」「地方揮発油税」「軽油取引税」「消費税」などがかかっており、ガソリンの大体半分くらいが税金だともいわれる。(https://www.integrity.or.jp/gasoline-diesel-tax/)
じゃあ税金を下げればガソリンはすぐ安くなるわけだ。国会でも「ガソリンにかかっている税金下げる(トリガー条項の解除をする)のはどうか」と尋ねた議員に対し、政府サイドはこんな風に回答している。
要は、
①減税するにしてもガソリンではない灯油は税金がかかっておらず影響が及ばない
②価格が大幅に変わるので消費者や現場の負担が大きい
③事務負担が大きい
という3つの理由で減税はしない、としている。
①については消費税を下げればいいし、②や③については仮に正しいとすれば、全く同じ理由であらゆる増税をすべきではないということになる。なぜなら増税をしても価格が変わって駆け込み需要が起きたり、事務負担が生じるからである。でも不思議ながら、現代の政治家は増税に何の躊躇もない。
そして、③の事務負担については不思議なことに、政府が推し進めたいこととなると事務負担をガン無視するのである。
10月からインボイス制度が導入されたが結構面倒くさい仕組みらしい。税理士の人たちの中でも「やめてほしい」との声が上がる筆頭政策に上がっているほか、事務負担のコストも相当に大きいようだ。
このインボイス制度も「事務負担がでかい」「コストがでかい」ということで、先に述べた減税と同じく諦めるべきではないかということが言えそうだが、政府はこんな風に答えている。
まとめるまでもなく、全くインボイス制度の導入をあきらめる気がないことがわかる。
ということは、事務負担がでかいか小さいかということは政府が政策を推し進めるうえで別に意味はない事象なのであって、やりたくない政策を野党からやれと言われた時に、それっぽい理由として「事務負担が…」と説明をしているにすぎない。
残念ながら政府は”事務負担が大きい”という理由で減税をやるつもりは全くなく、”事務負担が大きい”としてもインボイスはやるということである。
政治家や官僚の説明は大概が「それっぽい」のだが、過去の説明との矛盾があることはしばしばだ。それに気づかず、説明をうのみにして考えなしにルールに従うだけでは、実は何の合理性もないルールが出来上がって私たちがただただ面倒な思いをするだけ、ということもある。
世間を平和に生きるためにルールは当然必要なものだが、そのルールの合理性は政治家などの「それっぽい」説明に惑わされずに、私たちが絶えず問い続けるべきものである。